中小企業経営
考えに詰まったときには環境を変えると、意外に思いもつかないアイディアがわいてくるものである。
現在、東ティモールに滞在している。21世紀に入ってから独立した、まだ出来立ての国である。独立時の紛争などの報道映像がまだ記憶に新しいため、で危険な印象があるかもしれないが今のところ治安に問題はない。その平和さから、滞在している国連監視団が当地での勤務を「パラダイスミッション」と呼んでいるぐらいである。
では経済状況はどうなっているかといえば、首都ディリでは老いも若いもみんな携帯電話を使っており、若い通訳君もパソコンを使いこなしているなど、近代化が進んでいる側面もある。
一方で、市場では冷蔵ケースもなく、魚屋ではどの店も板の上にそのまま魚を置いて陳列しておりまったく鮮度管理ができていない。こういう光景を目にすると、つい「製氷機を最初に購入した店が抜け駆けて儲けだすだろうなぁ」と思ってしまう。
また、タクシーがたくさん走っているがすべて個人営業である。したがって夜、レストランからホテルに帰るときに車を呼んでもらおうと思っても、配車センターがあるわけではないため、タクシーをつかまえるのは容易ではない。こういうときにも、「レストランから安心して帰れるなら多少高い値段を払ってもよいという人をターゲットにしてタクシーセンターを作ると儲かるなぁ」と考えてしまう。
日本と東ティモールの現状を比較することで、日本では気にもかけていなかったことが、重要な社会インフラであることに気づかされる。
今、日本では経済の停滞が深刻で、事業の行き詰まりを感じている経営者が多いと思われる。経済が活発なときには、時代の流れがどこに向かっているかを考えれば事業の方向性を見つけるアイディアはわきやすいかもしれない。しかし経済が不活発なときに、現状を打破できる、事業の方向性を考え出していくのは容易なことではない。
そういうときには、仕事と関係なくても思い切ってまったく違う環境に身をおいてみるのはどうだろうか。もっと大きな時代の変化を目の当たりにすることで、新しい事業へのアイディアがわいてくるかもしれない。
時差がない赤道近くの途上国にいて感じたことである。
時差がない赤道近くの途上国にいて感じたこと 【丸山芳子】
丸山 芳子
考えに詰まったときには環境を変えると、意外に思いもつかないアイディアがわいてくるものである。
現在、東ティモールに滞在している。21世紀に入ってから独立した、まだ出来立ての国である。独立時の紛争などの報道映像がまだ記憶に新しいため、で危険な印象があるかもしれないが今のところ治安に問題はない。その平和さから、滞在している国連監視団が当地での勤務を「パラダイスミッション」と呼んでいるぐらいである。
では経済状況はどうなっているかといえば、首都ディリでは老いも若いもみんな携帯電話を使っており、若い通訳君もパソコンを使いこなしているなど、近代化が進んでいる側面もある。
一方で、市場では冷蔵ケースもなく、魚屋ではどの店も板の上にそのまま魚を置いて陳列しておりまったく鮮度管理ができていない。こういう光景を目にすると、つい「製氷機を最初に購入した店が抜け駆けて儲けだすだろうなぁ」と思ってしまう。
また、タクシーがたくさん走っているがすべて個人営業である。したがって夜、レストランからホテルに帰るときに車を呼んでもらおうと思っても、配車センターがあるわけではないため、タクシーをつかまえるのは容易ではない。こういうときにも、「レストランから安心して帰れるなら多少高い値段を払ってもよいという人をターゲットにしてタクシーセンターを作ると儲かるなぁ」と考えてしまう。
日本と東ティモールの現状を比較することで、日本では気にもかけていなかったことが、重要な社会インフラであることに気づかされる。
今、日本では経済の停滞が深刻で、事業の行き詰まりを感じている経営者が多いと思われる。経済が活発なときには、時代の流れがどこに向かっているかを考えれば事業の方向性を見つけるアイディアはわきやすいかもしれない。しかし経済が不活発なときに、現状を打破できる、事業の方向性を考え出していくのは容易なことではない。
そういうときには、仕事と関係なくても思い切ってまったく違う環境に身をおいてみるのはどうだろうか。もっと大きな時代の変化を目の当たりにすることで、新しい事業へのアイディアがわいてくるかもしれない。
時差がない赤道近くの途上国にいて感じたことである。
顧客満足はどこに・・・? 【岩本 亨】
岩本 亨
東海地方のとある企業のコンサル業務が終わり、19:30過ぎの特急電車に乗った。今日は、かなりの強行軍で、名古屋で新幹線に乗り換えて、岡山に22:30過ぎに着き、レンタカーで米子に行く予定。到着は深夜2:00近くの見込み。明日は山陰でコンサル業務予定のアポイントがある。こんな風に動き回っていれば、夕方になれば疲れも出てくる。名古屋に向かう特急電車で指定席に座り爆睡し始めたとたん、検札の車掌に起こされた。これまでも何回か経験があるが、今回は深夜のドライブに備えてできる限り仮眠を取りたいと思っていた。少々カチンときて、車掌に質問した。「客が寝ているのに?起こすのか? 特急の指定席料金を払って、快適に過ごしたい客の気持ちと、検札業務で不正を排除し利益喪失を避けるという会社のミッションとどっちを大切にすべきなの?」と。顧客満足を標榜するのであれば、当然「客の気持ち」との回答のはず。だが彼は「(客が寝てても)声は掛けさせてもらっています。起きなければ、後でまた来ます」と答えた。これがサービス業なのか?
少なくともJR東日本は指定席に乗っている場合は検札しない。同じJRなのに東海はなぜそうしないのか?新幹線の主要区間で不正が横行すれば、会社の業績に関わる。それはわかる。だからと言って善良な(?)利用者に不快な思いを強いて良いのか?見解を聞いてみたいものだ。
数か月前のお昼時に、都内繁華街で打ち合わせしていて、老舗らしい天ぷら屋に入った。休日ながらランチ時間。店内はそこそこ混んでいた。急いで食事を済ませたかった私たちは、ご年配の店員に「何が早くできるか?」と聞き、同じものを発注した。なかなか来なかった。天ぷらなので揚げたてをと、揚がるたびに持ってきてくれた。「これでおしまいです」と言われたものを食べて、お勘定をし、店を出かかったタイミングで、「まだデザートが出ます」と言われた。「客の状況を配慮もできないのか?」と違和感を持った。
老舗企業は変革を積み重ねて、事業継続した結果、「老舗」と言われるまでになった。継続できたのには理由がある。顧客ニーズを読めずに、企業独自の考えた「サービス」を提供しても、支持は得られない。自分の仕事柄、いらぬ心配をしてしまった。振り返って弊社は顧客ニーズが読めているだろうか?「人のふり見て我がふり直せ」反省してみることにしよう。
交通トラブルに良く遭遇する私のつぶやき 【岩本 亨】
岩本 亨
米子空港の搭乗待合室でこの文章を作成している。12:25出発予定の羽田空港行の航空機に不具合があり、修理のための部品を次の東京からの便が運んでくるとの説明だった。変更された出発予定は16:05。思いがけずできた3時間半あまりの時間を使っているという次第。
出張が多いためか、いろいろな交通トラブルに遭遇する。
今年6月には、出張先の松江駅(島根県)から、大阪に向かおうと伯備線経由の特急やくもに乗っていたが、米子駅(鳥取県)手前で、「大雨による倒木の影響で、米子駅でしばらく停車する」とのアナウンスがあった。聞けば、松江駅発車の3時間前に発生した倒木だった。事前に情報があれば出雲空港から空路大阪に向かったはずだが、何の情報提供もなかった。18:00~セミナー講師の仕事だったため、急きょ米子駅で大阪なんば行の高速バスに乗り20分遅れで会場入りした。
今年3月には、羽田から南紀白浜(和歌山)に空路で日帰り出張の予定だったが、空港が濃霧のため着陸できない可能性があるとのことで、JRで向った。復路は航空会社のホームページで確認したところ、大丈夫そうだったので空港に向かった。カウンターで確認したところ、「東京からの便が着陸できなければ、航空機が用意できないので飛べない可能性がある」と言われた。「どうして情報提供を早くしないのか?」と詰め寄ったが、「つい先ほどそのように公表した」との回答だった。結局、陸路で帰京した。空路では往復3時間ほどだが、陸路なので10時間強の大旅行(?)になってしまった。
昨年夏には、朝、福岡空港から出雲空港(島根)に向かったが、強風のため着陸できず、大阪伊丹空港へ着陸した。この日は、10:00~安来市内(島根)の会社の調査の予定だった。結局、調査を開始できたのは15:00だった。
一昨年1月末には、羽田空港から米子空港に向かった。ちょうど強い寒気が日本列島に流れ込んでいた日だった。早朝便だったこともあり、滑走路が凍結していて着陸できなかった。この時も大阪伊丹空港に着陸し、陸路で移動した。松江市内の旅館の経営改善のための会議に何とか間にあった。
出雲空港には日本航空(JAL)、米子空港には全日本空輸(ANA)しか就航していない。二つの空港は、距離にして30㎞ほどしか離れていないが、天候は違う。一方が着陸できないほどでも、もう一方は大丈夫な場合が多い。上記の二例の際にもそうだった。大阪伊丹に着陸するなら近くの空港の方が良いに決まっている。にもかかわらず、利用者の利便性など関係なく、会社が違っていて、空港が使用できない契約になっているのか、大阪伊丹空港まで行ってしまうのだ。何とかならないものだろうか・・・?
一昨年夏には、東京から河津に向かって新幹線に乗り、熱海乗り換えの予定だったが、強風のため新幹線がしばらく停車してしまった。熱海に着いた時には、予定していた電車の時間はとっくに過ぎていたが、実は運転取りやめになっていた。熱海でレンタカーに乗り換え、2時間強のドライブの末、何とかアポイントに間に合った。
色々な経験をするたびに、いろいろな思いを持つ。改善して欲しい点はいろいろあるが、それを意思決定できる役職者の耳にまでは、一利用者の声などなかなか届かないのが実情なのかもしれない。
それを期待するより、自分自身が交通トラブルに巻き込まれないために、神社仏閣にお祓いにでも行った方が良いのかもしれないと思ってしまうのである。
人は低く限界を作るものかな!? 【岩本 亨】
岩本 亨
こんな話を聞いたことがある。確かな実験の結果なのか、作り話なのかを私は知らないが・・・。
蚤(ノミ)を空のガラスケースに入れ、ガラスで蓋(フタ)をする。入れた当初は、蚤は跳ね回るが、蓋に衝突を繰り返し、外には出られない。そのまま数日置いた後、蓋を外す。蚤は、もう上に向かっては跳ねない。「どうせ跳ねても、衝突するだけで、外には出れやしない」と思っているようだ。
先日ある地方の居酒屋で、隣り合わせたサラリーマンと世間話をしていた。彼は36歳にして独身だという。「結婚が嫌なのか?」「彼女はいないのか?」と聞いた。「結婚が嫌なわけではないし、彼女もいる」という。「では、なぜ?」。
彼は、「自分の自由になるお金が月々10万円くらいは欲しい。今の給料では、それを確保するのがギリギリ。結婚したら、10万円なんて自由に使えなくなる。だから、独身でイイんだ」と言った。
「給料を増やしたら?」と言ってみた。
彼:「そんなこと無理!」
私:「何で?」
彼:「今の会社は小さくて、これ以上はもらえないから」
私:「じゃあ、あなたの力で会社を大きくすれば?」
彼:「そんなこと考えたこともない」
私:「考えてやってみれば?」
彼:「・・・」
こんなやり取りをしていて、彼は「ガラスの蓋」を作ってしまっているのだと思った。
よくある話のような気もする。人は勝手に限界を設定して諦めてしまう。もったいないことだ。私自身もそうだと気付くことがある。
研修講師をしている際に、「努力をし続けることが大切!」「できるまでやり続ければ失敗しない」などとお話しすることがある。
先日の居酒屋の話を思い出し、改めて「自分はできているのか?」「勝手に蓋をしていないか?」と自問し、折に触れチェックしようと思った。
営業活動の中で 【岩本 亨】
岩本 亨
今年4月20日に、内閣府、金融庁、中小企業庁の三省庁合同で、今年度末の中小企業金融円滑化法(以後、「円滑化法」と表記)の期限切れをにらんで、ソフトランディングのための対策として「政策パッケージ」が発表された。その中に「今年度中に3,000社を目標に、再生計画を策定する」という方針が盛り込まれている。
「円滑化法」では、企業から金融機関に対して、借入金の原本返済のリスケ(リスケジュール:返済猶予)の依頼があった場合、基本的に受け入れるように要請している。ただし、その企業が1年以内に経営改善計画を策定し、経営改善に取り組むことが条件である。実情は惨憺たるもので、きちんとした経営改善計画を策定して取り組んでいるのは20%前後と推定されている。
金融庁は金融機関の監督指針として「コンサルティング機能の強化」を打ち出しており、支援する企業とそうでない企業を区別するように指導している。つまり経営改善に向け計画をきちんと立て、真摯に取り組んでいる先は支援継続。そうでない先は、廃業も視野に今後を検討するようにということである。
それではリスケ企業が、経営計画を策定せず、策定したとしてもきちんと取り組まずに、今年度末を迎えるとどうなるか? 現状で最悪の予測をすると、金融機関が支援を打ち切る可能性が高いと考えられる。極論だが、金融機関から、「リスケの要請には、これ以上応じられません。約束通り返済(約定返済)できないなら、今すぐに全額返してください」と迫られる可能性があるということである。
前置きが長くなった。このような状況のもと、5月下旬から、複数の商工団体を訪問し、弊社のセミナーのご案内をした際、余談として、「円滑化法期限切れの出口対策について、情報発信した方が良いのではないか?」と提案してみた。各団体、様々な対応であったが、反応の多くは以下の通り。
① 会員企業が現実を知らない(知ろうとしない)状況だと思われる。
② それに対して状況をきちんと報告し、警告を発信しないのは、会員に対する背信行為ととられかねない。
③ 会員企業で対象になる可能性があるところについては、適切な対応をとって欲しい。そのために緊急セミナ
ーを企画して、啓発したい。
④ それでも聞いてくれないかもしれないが、企画側にとっては、緊急セミナーを開催して、きちんと対応した
事実を作っておけば、年度明けに、該当企業から責められても、きちんと説明ができる。
ホンネも見えてなかなか興味深いのだが、角度を変えて観ると、まさに「営業チャンス」であることに気付くことができる。ポイントは以下のようにまとめられる。
① 法改正という、大きな外部環境変化があった。
② それに対して、何らかの手を打たなければならないと、問題意識が生まれる。
③ 会員のことを思い、緊急セミナーのニーズが発生する。
④ その際、ある意味リスクヘッジ的な思考もある。
(②~④は内部環境の変化である。)
優秀な営業担当者は、まず①の情報をいち早くキャッチし、それに対してどのような対応がとられているのか観察(②・③)し、付随的な感情も見極めた動きをすると思われる。
すなわち、以下のようにである。
① 各商工団体に対して、「法改正で円滑化法の期限が切られたが、どのような対応をされていますか?」と
ヒアリングして回る。
② ヒアリングしつつ、「円滑化法期限切れに対応した対策」についてのセミナー企画を提案する。
③ 角度を変えて、それを開催することによって、リスクヘッジにもなることを説明する。
この例からもイメージしていただけると思うが、営業担当は外部環境の変化の情報収集が求められる。次にその変化による、ターゲットの内部環境変化を見極めることが求められる。それをもとにした提案をする際、相手のためになることは何か考え提案することが重要である。相手の立場に立って、何を提供してあげれば、喜ばれるかをとことん考えることが大切である。
日常の営業活動の中で気づいたことを上げてみた。少しでも参考にしていただければ幸いである。