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時差がない赤道近くの途上国にいて感じたこと 【丸山芳子】

2012/10/29
丸山 芳子

考えに詰まったときには環境を変えると、意外に思いもつかないアイディアがわいてくるものである。

 

現在、東ティモールに滞在している。21世紀に入ってから独立した、まだ出来立ての国である。独立時の紛争などの報道映像がまだ記憶に新しいため、で危険な印象があるかもしれないが今のところ治安に問題はない。その平和さから、滞在している国連監視団が当地での勤務を「パラダイスミッション」と呼んでいるぐらいである。

 

では経済状況はどうなっているかといえば、首都ディリでは老いも若いもみんな携帯電話を使っており、若い通訳君もパソコンを使いこなしているなど、近代化が進んでいる側面もある。

 

一方で、市場では冷蔵ケースもなく、魚屋ではどの店も板の上にそのまま魚を置いて陳列しておりまったく鮮度管理ができていない。こういう光景を目にすると、つい「製氷機を最初に購入した店が抜け駆けて儲けだすだろうなぁ」と思ってしまう。

 

また、タクシーがたくさん走っているがすべて個人営業である。したがって夜、レストランからホテルに帰るときに車を呼んでもらおうと思っても、配車センターがあるわけではないため、タクシーをつかまえるのは容易ではない。こういうときにも、「レストランから安心して帰れるなら多少高い値段を払ってもよいという人をターゲットにしてタクシーセンターを作ると儲かるなぁ」と考えてしまう。

 

日本と東ティモールの現状を比較することで、日本では気にもかけていなかったことが、重要な社会インフラであることに気づかされる。

 

今、日本では経済の停滞が深刻で、事業の行き詰まりを感じている経営者が多いと思われる。経済が活発なときには、時代の流れがどこに向かっているかを考えれば事業の方向性を見つけるアイディアはわきやすいかもしれない。しかし経済が不活発なときに、現状を打破できる、事業の方向性を考え出していくのは容易なことではない。

 

そういうときには、仕事と関係なくても思い切ってまったく違う環境に身をおいてみるのはどうだろうか。もっと大きな時代の変化を目の当たりにすることで、新しい事業へのアイディアがわいてくるかもしれない。

 

時差がない赤道近くの途上国にいて感じたことである。