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新規開拓営業のコツ その5~クロージング~【産業 学】

2012/02/27
産業 学 

6回シリーズでお届けする“新規開拓営業のコツ”。第5回目は『クロージング』についてご説明いたします。

 

その1.事前準備
その2.アポイントの取り方
その3.初回精査
その4.2回目以降の訪問
その5.クロージング
その6.アフターフォロー

 

初回精査から、数回の面談を経て、顧客のニーズが十分に把握できたら、案件の締結に向けて話の舵を切るわけです。これがクロージングです。クロージングにおける小手先のテクニックは幾つかありますが、それよりも押さえておきたい大きなポイントが4つあります。
それは、
1.顧客便益
2.成功事例
3.比較優位
4.商品機能
の4つです。これら4つの要素は、クロージングに至るまでに顧客にしっかりとご認識いただく必要があります。

 

1.顧客便益
顧客が自社の商品・サービスを利用することで得られる便益を指します。ベネフィットとかメリットという言葉の方が耳馴染みが良いかもしれません。営業マンが自社の商品を売り込もうとすると、とかく商品の機能説明に走りがちです。しかし、これはあまり意味がありません。当該商品に興味のない状態で、いくら機能の説明をされようと、うるさく思われるだけですし、逆に興味があれば、自身でインターネット等から情報を仕入れたり、積極的に質問したりするでしょう。

 

営業マンがもっとも顧客に伝えなければならないのは、顧客便益です。自社の商品を利用することで、どんな便益が得られるのか、可能な限り具体的に提示しましょう。
・顧客が抱えている問題点を解消する
・導入による費用対効果が大きい
・顧客の将来的な夢を語る
の3点が分かり易い例ですね。自社の商品を導入することにより、顧客の問題点が解消でき、問題が解決されるのであれば、あるいはその可能性が大いに期待できるのであれば、顧客は商品の導入を真剣に検討することになるでしょう。また、現状にそれほどの不満を感じていない場合でも、導入後に費用対効果が明確に得られるような提案であれば、やはり導入に際して前向きに検討することになります。顧客の夢を語るというのは、“御社(あなた)の将来像を共に考えます”というようなもので、将来的な便益を伝えるのみならず、相手に親近感を与え、売り手と買い手との間のコンフリクトを取り払ってしまうという効果が期待できます。ただし、言い回しによっては非常に胡散臭くなってしまうので要注意です。

 

2.成功事例
いくら便益を示したところで、人間というのは疑り深いものです。或いは、会社組織では、担当者の一存で決められる事項は決して多くなく、上司・上層部の承認を得なければ、ことが進まないということも多々あります。特に、他者に説明を要する場合、“○○で導入していて成果が出ているから”とか“○○では○%の費用削減に成功した”等の成功事例は、非常に分かり易い説得材料です。事例を説明するときには、極力具体的に、数字を使って説明すると効果的です。
『○○社で○%の売上アップ』『○○社で○%のコスト削減』等ですね。

 

3.比較優位
顧客は、当該商品に興味を示すと、類似の他社商品の調査も合わせて開始します。“導入メリットは分かった。確かに成功事例もある。だが本当にこの会社の商品で良いのか?他社でもっと良いモノがあるのではないか?”といった具合に、競合商品との比較検討をするのです。
ですので、先手を打って競合との比較優位をこちらから伝えてしまうのです。このときに大切なのが、“主観的になりすぎないこと”です。そりゃ自社の商品ですから他社より優れていると言いたい気持ちは分かるのですが、オーバートークは厳禁です。かえって顧客の信頼を失います。『△△の点では劣っているが、御社の必要とされている○○に関しては当社の方が優れています』と正直に伝えることで、“この営業マンは嘘をつかない。信頼できる”という印象を与えることができます。顧客が何を必要としていて、何をそれほど重要視していないかは、ヒアリング段階で精査しておくべき事項です。

 

4.商品機能
繰り返しになりますが、営業マンは自社の商品・サービスを説明したがります。しかし、これはあまり効果がありません。機能の説明というのは、あくまで確認です。上記の3つに関して十分理解が得らた状態で、それを証明するための材料として機能の説明をするのです。終始商品説明だけするような営業トークは避けた方が賢明です。

クロージングにおける重要な要素として、4つをご説明いたしました。“あれ?価格は伝えないの?”と思われるかもしれません。当然価格も説明します。費用対効果の説明では購入価格が分からなければ、話が伝わりません。しかし、クロージングの要素として重要かと言えば、必ずしもそうではありません。価格を伝えるのは最後で良いのです。数字と言うのはとてもインパクトがあります。事例や他社比較等は極力数字を使って説明した方が良いですが、最初から価格を伝えてしまうと、価格の印象のみが強烈に残り、全て価格を基準に判断されてしまいます。自社で扱っている商品・サービスに圧倒的な価格優位性があるのであれば、それもまた良いでしょう。しかしながら、価格による優位性というのは、最も脆いです。当社を凌ぐ資本力を持つ他社が参入してきた時点で、直ぐに崩壊してしまいます。また、単なる価格競争を続けていくと、結果同業同士で足の引っ張り合いをするだけで、業界全体が疲弊してしまいます。長い目で見ても得策とは言えません。
“安く売ることが顧客にとって一番良い”というとんでもない勘違いをしている営業マンが残念ながら結構いますが、価格の安い・高いは顧客の価値基準により異なるもので、絶対的な額ではありません。定価で買っても安いと思う人もいれば、半値でも高いと思う人もいるのです。
営業の基本は、顧客のニーズを十分に把握し、顧客が真に望むものを適正価格で提供することです。

 

 

次回はシリーズ最終回『アフターフォロー』です。

 

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