ブログ人材育成

今回は、最近の研修講師の話から。

今年で、3年連続で講師を務めさせていただいた、T市役所の「政策提案研修」が完了した。

7~8年目の職員を中心に、30名が受講。まず9月下旬に2日間政策提案の基礎的な研修を行った。意図的に「知識4割、演習6割」の実践にこだわったカリキュラムにした。

最初から5つのグループに分かれて演習に取り組んだ。そこで習得した内容を実際に活用して、約1ヶ月半のグループ活動。終業後や休日に時間を作って集まり、いろいろ調査したり分析したりしながら、政策案を検討し作成した。

そして11月初旬、市長をはじめとする理事者にその政策案をプレゼンテーションした。プレゼンは15:30~17:00。チームごとに発表10分、質疑応答5分。

その日の9:00~15:30までは、プレゼンテーションの基礎知識を、講師が20分程度説明した以外は、もっぱらグループ活動の総仕上げとして、2回のリハーサルと調整に集中した。

1回目のリハーサルは、全グループで聞き、アドバイスをしあった。他グループの様子を見て、自グループの参考にする。用意してきたパワーポイントのスライドが多すぎて、決められた時間内に発表が終わらないグループ。用意してきた原稿にばかり目を落として、全員が下を向いて元気なさそうに見えてしまうグループ。早口のグループ。声が小さいグループ・・・。最初からうまくいくはずもないが、様々な問題が浮き彫りになった。講師としては心配だったが、今年のグループは昨年までにも増して優秀だった。お昼休みも削って本番に備えていた。

そして本番。すべてのチームが堂々と9分30秒前後でプレゼンをまとめた。他チームや研修担当職員、講師からもらった、色々なアドバイスをきちんと検討し、可能なところは修正していた。最初のリハーサルに比べて、格段にブラッシュアップしたプレゼンであった。

提案内容の濃淡はあったが、市長はじめ理事者各位は大変満足そうに聞き入っていらっしゃった。厳しい質問もあったが、もっとブラッシュアップして提案し直して欲しいとの要望もいただいた。

プレゼンが終わり講師オリジナルの表彰状を全グループに授与した。記念撮影をして研修が終了したが、満足感と心地好い疲労感に包まれた。

課題と納期を設定して、集中して取り組む。テーマは自分たちで設定する。納期は他から指定されているが、自由裁量の部分が非常に大きい。まさに「目標による管理」。自発的に動いていくからこそ成果が出てきやすいことを実感できた研修だった。

当然のことながら、企業経営にも通じるものがある。自主性を如何に引き出して活躍してもらうか。組織にとっても個々人にとっても幸せな環境なのだが、なかなか実現は難しい・・・。

T市役所「政策提案研修」の講師をさせていただきました 【岩本 亨】

2012/11/06
岩本 亨

今回は、最近の研修講師の話から。

今年で、3年連続で講師を務めさせていただいた、T市役所の「政策提案研修」が完了した。

7~8年目の職員を中心に、30名が受講。まず9月下旬に2日間政策提案の基礎的な研修を行った。意図的に「知識4割、演習6割」の実践にこだわったカリキュラムにした。

最初から5つのグループに分かれて演習に取り組んだ。そこで習得した内容を実際に活用して、約1ヶ月半のグループ活動。終業後や休日に時間を作って集まり、いろいろ調査したり分析したりしながら、政策案を検討し作成した。

そして11月初旬、市長をはじめとする理事者にその政策案をプレゼンテーションした。プレゼンは15:30~17:00。チームごとに発表10分、質疑応答5分。

その日の9:00~15:30までは、プレゼンテーションの基礎知識を、講師が20分程度説明した以外は、もっぱらグループ活動の総仕上げとして、2回のリハーサルと調整に集中した。

1回目のリハーサルは、全グループで聞き、アドバイスをしあった。他グループの様子を見て、自グループの参考にする。用意してきたパワーポイントのスライドが多すぎて、決められた時間内に発表が終わらないグループ。用意してきた原稿にばかり目を落として、全員が下を向いて元気なさそうに見えてしまうグループ。早口のグループ。声が小さいグループ・・・。最初からうまくいくはずもないが、様々な問題が浮き彫りになった。講師としては心配だったが、今年のグループは昨年までにも増して優秀だった。お昼休みも削って本番に備えていた。

そして本番。すべてのチームが堂々と9分30秒前後でプレゼンをまとめた。他チームや研修担当職員、講師からもらった、色々なアドバイスをきちんと検討し、可能なところは修正していた。最初のリハーサルに比べて、格段にブラッシュアップしたプレゼンであった。

提案内容の濃淡はあったが、市長はじめ理事者各位は大変満足そうに聞き入っていらっしゃった。厳しい質問もあったが、もっとブラッシュアップして提案し直して欲しいとの要望もいただいた。

プレゼンが終わり講師オリジナルの表彰状を全グループに授与した。記念撮影をして研修が終了したが、満足感と心地好い疲労感に包まれた。

課題と納期を設定して、集中して取り組む。テーマは自分たちで設定する。納期は他から指定されているが、自由裁量の部分が非常に大きい。まさに「目標による管理」。自発的に動いていくからこそ成果が出てきやすいことを実感できた研修だった。

当然のことながら、企業経営にも通じるものがある。自主性を如何に引き出して活躍してもらうか。組織にとっても個々人にとっても幸せな環境なのだが、なかなか実現は難しい・・・。

人は低く限界を作るものかな!? 【岩本 亨】

2012/07/02
岩本 亨

こんな話を聞いたことがある。確かな実験の結果なのか、作り話なのかを私は知らないが・・・。

蚤(ノミ)を空のガラスケースに入れ、ガラスで蓋(フタ)をする。入れた当初は、蚤は跳ね回るが、蓋に衝突を繰り返し、外には出られない。そのまま数日置いた後、蓋を外す。蚤は、もう上に向かっては跳ねない。「どうせ跳ねても、衝突するだけで、外には出れやしない」と思っているようだ。

先日ある地方の居酒屋で、隣り合わせたサラリーマンと世間話をしていた。彼は36歳にして独身だという。「結婚が嫌なのか?」「彼女はいないのか?」と聞いた。「結婚が嫌なわけではないし、彼女もいる」という。「では、なぜ?」。

彼は、「自分の自由になるお金が月々10万円くらいは欲しい。今の給料では、それを確保するのがギリギリ。結婚したら、10万円なんて自由に使えなくなる。だから、独身でイイんだ」と言った。

「給料を増やしたら?」と言ってみた。

彼:「そんなこと無理!」

私:「何で?」

彼:「今の会社は小さくて、これ以上はもらえないから」

私:「じゃあ、あなたの力で会社を大きくすれば?」

彼:「そんなこと考えたこともない」

私:「考えてやってみれば?」

彼:「・・・」

こんなやり取りをしていて、彼は「ガラスの蓋」を作ってしまっているのだと思った。

よくある話のような気もする。人は勝手に限界を設定して諦めてしまう。もったいないことだ。私自身もそうだと気付くことがある。

研修講師をしている際に、「努力をし続けることが大切!」「できるまでやり続ければ失敗しない」などとお話しすることがある。

先日の居酒屋の話を思い出し、改めて「自分はできているのか?」「勝手に蓋をしていないか?」と自問し、折に触れチェックしようと思った。

後継者育成~ほめて育てるか鍛えて育てるか 【長屋勝彦】

2012/05/14
長屋 勝彦

 

「やって見せて、言って聞かせて、させて見せ、褒めてやらねば部下は動かじ」山本五十六元帥の言葉である。人は褒められることにより認められたという気持ちになりやる気が出て成長するということであり、管理者研修などでこの言葉を引用する。

 

一方、「谷底から這い上がってきた獅子を育てる」という言葉がある。獅子は生まれてきた子獅子を谷底に落としそこから這い上がってきたものだけを育てるという意味で、甘やかさないで試練を課し育てるということである。

 

どちらの育て方が良いかは一概に言えない。

 

厳しい課題を課し、達成できないと「駄目だ、駄目だ」というやり方では、滅入ってしまい、やる気がなくなり、自信喪失につながる。植物に対しても温かい言葉をかけ育てれば花を咲かせ、身を実らせるが、きつい言葉をかければ成長が止まってしまうということを聞く。

 

会社等の組織の階層が上がるにつれて、褒める、手とり足とりによる指導のみではトップマネジメント層にふさわしい器に育つとは言い難い。厳しい命題、課題を与え、その命題、課題を達成させるための方法を自ら考え、実行させるよう仕向けることが必要である。会社のトップがその地位に着くまで、先人から厳しい試練を受け血のにじむような努力をし、自分自身の経営手法を体得したことを、「私の履歴書等」で読む。

 

事業承継には、公平無私の立場で、会社の存在意義、経営者としてのあるべき姿を自覚させることから

始めていきたい。そして自分自身も原点に還った経営を目指していきたい。

想定外を想定する 【遠藤弘之】

2012/04/16
遠藤 弘之

この言葉は、この3月末頃の新聞などに載った言葉である。
昨年の大震災と原発への対応問題への反省から、国民に今後の意識変革を促す意味があると考えられる。 特に、危機・リスクマネジメントなどに興味のある人たちには考えさせられるところが多い言葉である。
一般に、仕事には、目的があり、それを達成するための策として強み弱みも考える上に、更に色々なリスクも考えていく必要がある。そのリスク発生の可能性・頻度・起きた時の影響度なども出来うる限り客観的に想定し、対応策には優先順位が付けられる。
しかし、優先順位が低いと、費用対効果とか効率性などから、具体的な対応策は計らない場合が多い。が、多少のリスクを意識して、注意を怠らないようにする、つまり観察を継続することが大切になる。民間会社の経験からすると観察する分担を如何にするのかという課題はあるが、観察していこうとする意識があり(想定外に置かない)、少しでも状況変化があれば、優先順位を見直す姿勢があった。従って、リーダーの役割は大変であった。
今回の大震災や原発事故の問題の場合、リスクは認識されていたようである。が、頻度、可能性が低いこともあり、効率性などから想定外に置かれたのではと危惧される。
ここでの問題は、今回の言葉の中で「想定外」は、優先順位がかなり低いリスクを本当に想定外に置いてしまったという判断の扱い方にあるように思う。つまり、限られた資源と時間の使い方に対し、効率という判断が優先されたのではないのか。 
皆さんは、「想定外を想定する」という言葉には、納得される部分も多いとは思うが、何故今回のように想定してしまったのかをもう一度考えてみることも大切なことではないか。

凡事徹底 【岩本 亨】

2012/04/02
岩本 亨

今日4月2日は、新しい年度が始まり、多くの人にとって最初の出勤日である。東京は良い天気に恵まれ、桜も三分咲き。日経新聞の一面は「景気復調、内需が支え」というTOP記事。震災の影響もあり、漂っていた沈滞ムードが、薄れていくことを祈りたい。

私自身、研修の講師をしていても、コンサル案件で社長と話をしていても、痛感することは「当たり前のことが当たり前にできる」人が、なぜこんなに少ないのか?ということ。逆に言えば、当たり前のこと(凡事)を当たり前にでき(徹底)さえすれば、できるビジネスマンやできる経営者になれる可能性が高いということか?

では、ビジネスマンにとっての「凡事徹底」とは何か? まずは身だしなみをきちんと清潔にすること、あいさつをすること、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の徹底、約束を守ること・・・。いくら仕事ができても、これらのことができなければ、スタートラインに立つことができない。

身だしなみは、スーツやシャツ・ブラウス、ネクタイや靴下・ストッキング等、服装のことだと思っている人が多い。確かにそれも大切だが、私は「靴」に気を付けている。靴がきれいであれば、その人は信用できると思う。違う意味で使われるが「足元を見る」という言葉もある。靴にまで気配りできる人は、服装全体もきちんとしている。きっと仕事も着実で、成果を上げてくれると期待できる。いささか言い過ぎかもしれないが、少なくとも私自身はそう思っている。

昨日、自分の靴6足を磨いた。たまに家人に頼むこともあるが、自分の靴は自分で磨くのが基本だと考えている。靴に付いているホコリやゴミを落とし、靴クリームをまんべんなく塗り、磨き上げる。プロセスを楽しみながら集中して磨いていると、意識するともなく、仕事について振り返りをしたり、工夫を思いついたり、アイデアが浮かんだりする。次の日、ピカピカの靴を履くと、気分も新たになり、仕事への意欲が湧いてくるのを感じる。

「凡事徹底」は、一つ一つのことは誰にでもできること。自分にとっての「凡事」全てを常にし続けることは非常に難しい。ただし、徹底できていれば、「凡事」一つ一つを実行した効果だけでなく、「凡事」すべてが、「徹底」できていることによる自信が生じ、仕事にもそれが反映されるという好循環が実現できるのであろう。私自身にとっても、目指すべき目標である。