中小企業支援
警視庁の調査によると、首都圏で大地震が起こった時に「必ず帰宅する」と回答した人は、45%に上った。理由の一番は、「家族が心配だから」。働き盛りの父親が多いのか、「家族は自分が守る」という当事者意識を強く持っている様子が窺える結果だと感じた。
私は「岩本組」という、中小企業診断士の研究会の「組長」としても、5年近く活動している。現在は50人ほどの「組員」がいる。2ヶ月に一度の定例会と、個別にチームを組んでの中小企業支援活動が主な活動である。参加している「組員」の相互啓発と自己研鑽を目的とした、個々人の自主性をベースとした研究会である。最近、活発に活動する組員と、そうでない組員が明確に分かれてきた。定例会に参加する顔触れも固定化傾向である。今月17日に予定している定例会への参加予定者も10名ほどしかいない。この状況に対して、つい最近「自主性がベースの組活動なので、当事者意識を持ってほしいと」メッセージを送ったばかりである。
私自身がコンサルタントとして、経営が厳しくなった企業の相談に乗ることも多い。経営者と話していると、二つに分類できることがわかる。危機感を前面に表して「何とかしたい」と必死な人と、「本当に厳しさがわかっているのか?」とこちらが心配になるような人とである。従業員も危機感を持っている人と、そうでない人がはっきりしている。
先日面白い話を聞いた。とあるショッピングセンターにある時計屋さん。愛想の良い店員Aさんが、時計を買った時や、修理をお願いした時など、値引きしてくれたり、おまけをくれたり、何かとサービスしてくれていた。それを気に入って利用していた人も多かったようだ。ところがそのお店は閉店した。2ヶ月後、Aさんが経営者としてお店を新規開店した。お店の雰囲気はほとんど前と変わらず、Aさんの愛想も良かった。ただ、サービスに対しては、非常にシビアになった。少しでも利益確保しようという一生懸命さが伝わってくる。一店員の頃とは全く変わった。自分で経営するのとそうでないのとの違い。まさに当事者意識の差であろう。
当事者意識の希薄な人に、それを持ってもらうこと。組織の中では、リーダーの永遠の悩みであろう。実際に個人がその環境に置かれれば、持たざるを得なくなる。ではいかにしてそれを実現するか・・・? 私自身、独立して初めてすべてが自己責任の状態になったことに気づき、当事者意識を強くした経験がある。当事者意識を持って主体的に行動する方が、充実した人生を送れると、個人的には思っている。
当事者意識 【岩本 亨】
岩本 亨
警視庁の調査によると、首都圏で大地震が起こった時に「必ず帰宅する」と回答した人は、45%に上った。理由の一番は、「家族が心配だから」。働き盛りの父親が多いのか、「家族は自分が守る」という当事者意識を強く持っている様子が窺える結果だと感じた。
私は「岩本組」という、中小企業診断士の研究会の「組長」としても、5年近く活動している。現在は50人ほどの「組員」がいる。2ヶ月に一度の定例会と、個別にチームを組んでの中小企業支援活動が主な活動である。参加している「組員」の相互啓発と自己研鑽を目的とした、個々人の自主性をベースとした研究会である。最近、活発に活動する組員と、そうでない組員が明確に分かれてきた。定例会に参加する顔触れも固定化傾向である。今月17日に予定している定例会への参加予定者も10名ほどしかいない。この状況に対して、つい最近「自主性がベースの組活動なので、当事者意識を持ってほしいと」メッセージを送ったばかりである。
私自身がコンサルタントとして、経営が厳しくなった企業の相談に乗ることも多い。経営者と話していると、二つに分類できることがわかる。危機感を前面に表して「何とかしたい」と必死な人と、「本当に厳しさがわかっているのか?」とこちらが心配になるような人とである。従業員も危機感を持っている人と、そうでない人がはっきりしている。
先日面白い話を聞いた。とあるショッピングセンターにある時計屋さん。愛想の良い店員Aさんが、時計を買った時や、修理をお願いした時など、値引きしてくれたり、おまけをくれたり、何かとサービスしてくれていた。それを気に入って利用していた人も多かったようだ。ところがそのお店は閉店した。2ヶ月後、Aさんが経営者としてお店を新規開店した。お店の雰囲気はほとんど前と変わらず、Aさんの愛想も良かった。ただ、サービスに対しては、非常にシビアになった。少しでも利益確保しようという一生懸命さが伝わってくる。一店員の頃とは全く変わった。自分で経営するのとそうでないのとの違い。まさに当事者意識の差であろう。
当事者意識の希薄な人に、それを持ってもらうこと。組織の中では、リーダーの永遠の悩みであろう。実際に個人がその環境に置かれれば、持たざるを得なくなる。ではいかにしてそれを実現するか・・・? 私自身、独立して初めてすべてが自己責任の状態になったことに気づき、当事者意識を強くした経験がある。当事者意識を持って主体的に行動する方が、充実した人生を送れると、個人的には思っている。
インフルエンザと企業経営に見る、リスク管理 【岩本 亨】
岩本 亨
先日、とあるセミナーの打上げの会食があった。講師4人とスタッフ3名。私も参加した。隣に座ったS先生が時折咳き込んでいるのが気になったものの、楽しいひと時を過ごした。翌日S先生より、「病院でインフルエンザA型と診断された。前日から熱っぽかったが、会食の魅力に誘われて参加してしまった。申し訳ない。」との連絡があった。次の日会食に同席していたKさんが、インフルエンザA型と診断された。私もその日から、なんとなく調子が悪く、胸の痛みやせきの症状が出ていた。夜になって発熱した。「とうとう私も・・・」と、弱気になると同時に、次週に予定されているセミナーやコンサルティングのアポイントをどうすれば良いか?と悩んだ。S先生に対して「風邪の症状が出ているのだから、参加を遠慮できなかったのか?」と腹立たしく思った。翌日病院に行き、検査をしたところインフルエンザは陰性だった。医師に「ただの風邪」と言われ、安心すると同時に、情けない自分を確認した。
こんな事態を防ぐためにはどうすればよかったのか?以下の三点に集約される。
①まず、S先生が参加しないこと。
②私自身がインフルエンザの予防接種を受けていること。
③リスクヘッジとして、代替講師を想定していること。
これを企業経営に例えてみる。取引先(S先生)が倒産し、連鎖倒産が発生(Kさん)、同じ状況の私があたふたしている状況である。上記三点については、以下の対応であろうか。
①危ない会社と付き合わない。または、与信管理をしっかり行うこと。
②「経営セーフティ共済」(中小企業倒産防止共済制)を活用し、毎月一定額の掛金を積み立てておくこと。
あるいは、セーフティネット貸付制度等、連鎖倒産を防ぐ施策を研究しておくこと。
③社長が何らかの事情で機能できなくなった時、誰がどのように代替するのか事前に決定しておくこと。
リスクを想定し、事前対応が可能なことについてきちんと備えておくことは、リスク管理の基本。弊社の研修プログラムとしても提供しているが、講師を担当しているものとしてきちんとできていなかったことに気づき、反省した次第である。
「儲かる仕組み」「売上倍増のマーケティング」の道も一歩から 【鈴木健彦】
鈴木 健彦
こんにちは。鈴木健彦です。
よく「儲かる仕組み」とか「売上倍増のマーケティング」といったテーマの書籍やセミナーを見かけます。
しかし、「もしドラ」(注)ブームを契機とした経営学ブームで、簡単に儲かるような仕組みを短絡的に求めるのではなく、その背景にある理論からしっかり学ぼうという風潮が出てきたのは喜ばしい限りです。
実際、経営学をしっかり学べば、さまざまな書籍やセミナーで見かける売上アップの手法は、自分で考え、思いつくことができるようになるからです。
私がMBA課程で感じたのは、まさにこの面白さでした。
しかし、本当に難しいのはここからだと思います。
「儲かる仕組み」も、実行するのは人間です。自分です。仲間です。同僚や上司です。
スキルのばらつきがあって、仕事のえり好みがあって、気分の浮き沈みがあって、サボりたいときもあって、人間の好き嫌いがあって、ついつい飲みすぎちゃったりして・・・。
多くの経営学の書籍では、戦略を実行計画に落とし込むための具体的なツールは、あまり用意されていません。
一応、企業風土や戦略、社員のスキル等を総合的に判断するフレームワーク(「7S」など)もありますが、それでも現場のドロドロした人間関係や大事な時にビビってしまう営業マンの感情まで制御できるものではないのです。
そこで重要なのは、決めたことを一歩一歩実現していく姿勢だと思います。
『コツコツと、まじめに、細かいことを一つひとつこなしていき、また部下にやり遂げさせる。
そんな企業が、最終的には強い力を持つようになる。』
時間はかかりますが、中小企業はそうやって成長するものだと思います。
大企業、特に韓国の大企業などは、莫大な資金をテコにヒト・モノ・技術を集め、ものすごい勢いで成長しますし、経営学もそういった手法に関する研究が多いです。
ですから、経営学をそのまま中小企業経営に持ち込むのは、けっこう危険なことなのです。
私も含め、中小企業の方が経営学を学ぶ際には、「実行」という視点を忘れないようにしたいと思っています。
(注:『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』ダイヤモンド社刊)
切磋琢磨した絆~海図なき大航海に向かって~ 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
2011年の大きな出来事は公私ともに3月11日(金)の大震災であった。震災当時、秋田県のある機械加工工場で研修中であった。当日は研修終了後社長と共にその日の秋田新幹線で帰途に着く予定であった。震度7の揺れが数分続き全員が工場の駐車場に出た。揺れが治まり工場に入り機械を点検したが計測器は壊れ、機械はいざり、この状態での運転は不可能な状態であった。
買い置きの電池がありテレビ、ラジオでニュースを見聞きした。東京まで辿り着く飛行機、新幹線による移動手段はなく、本日までお世話になったホテルに宿泊することにした。電話が通じないのでその工場の社員の方が車で、ホテルに行き宿泊を申し込み、受け付けをしていただいた。電気が通じていないので信号機が作動せず車の運転には気を使ったということを聞いた。
幸い社員の家、家族の方には問題はなくそれぞれが運転する機械の状態を確認、上司に報告して終業前ではあるが16時頃に退社した。
翌日は休みの土曜日であったが全員出社した。出社しても停電中であり機械を運転することはできないが故障した機械の点検、修理にあたった。
研修では、「リーダーとは部下を通して組織目的の効率的達成を図る人であり、部下が積極的、意欲的、自発的に達成しようと仕向けることが大切である。」ということを常に言っているが、日常業務にはその研修効果が発揮できていない状況にある。
社員は機械の点検を終え帰宅したが、工場長及び幹部社員は午後からも残り社長と共に今後の対応について協議した。夕方になり電気、水道、ガスのライフラインが回復した。リーダーの自発的行動により、工場長が中心となり各リーダー、社員に連絡し翌日の日曜日から操業を開始することになった。
今回のことで、震災前日の木曜日を含め4日間滞在したことになるが、私的には、ホテルの方には快く宿泊を引き受けていただくと共に炊き出しをはじめ何かとお世話になった。又、工場の社員の方にも弁当をごちそうになったり、携帯電話を充電していただいたり、細かなことまでお世話をいただいた。
社長とは、常々「リーダーに如何にして危機感を持たせることができるか」、「そのためにはどうすればよいか」ということを話しているが、今回の震災ではお互いに助け合い、率先して自分たちの職場を守ろうとする社員の気合を感じた。当工場は、この時点で、組織の成立要因である、目的意識、貢献意欲、コミュニケーションのすべてを満たしていたということになる。テレビ番組等でも言われる日本人の絆が当工場にもあることを実感した。
早速次の月(4月)の朝礼で、「当工場もやる気になればできる。この気持ちを忘れずに危機意識を持ち仕事をして欲しい」と話したが、現在の雰囲気は「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」、元に戻ったような感じもする。
しかし、教訓として、中小企業とはいえ、1社、1工場は危険、秋田工場の他、現在の本社工場のあり方も見直さねばという結論を得た。リスク管理に対する対処の仕方もシビアになった。
2012年も海図なき航海であり、行く先には荒波が待っている。企業は環境対応業であり、その荒波をうまく乗りこえることである。当社の強みはトップクラスの企業を顧客として持っている。その顧客維持のためには技術のブレークスルーが必須である。
さすれば、TPPを活用し世界の企業を直接顧客とし取引することも夢ではない。そのためには、お互いに傷をなめ合う絆ではなく、切磋琢磨した絆が必要である。
余談ではあるが、3月13日の日曜日工場長の運転により新潟までドライブをし、上越新幹線で帰途に着いた。
「年頭の決意」を文章にしてみる。 【岩本 亨】
岩本 亨
あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします
2003年以来、年初に「年頭の決意」をまとめている。今年で10年目である。
始めたきっかけは、中小企業診断士資格取得の受験勉強をしているときの、講師の一言だった。
当時「資格の学校TAC」の中小企業診断士講座を受講していた。講師の三好隆宏先生が年末の講義で、概略以下のような話をされた。
「自分が何のためにこの資格を取得しようとしているのか? 取得したらそれをどのように活用して、どんな人生を送りたいのか?改めて整理してみてください。年末年始を良い機会として文章にすることをお勧めします。」
私は、2002年に一次試験は合格したものの、二次試験は不合格だった。翌年の二次試験合格に向けて、受験勉強を続けていたが、マンネリ化していた。
半信半疑で作文してみた。資格取得を目指した理由を改めて振り返り、そこに新しい気持ちも盛り込んで文章にした。
幸いにも翌年合格することができた。翌年の正月に、一年前の文章を読み返して、思った。
「昨年はこんなことを目標にしていた。反省点もたくさんあるが、できたこともある。振り返りをもとにして、今年も『年頭の決意』を作文しよう。」
以来、9年間続けてきて、今年が10年目である。今年もこれからまとめようと思い、9年間の文章を読み返した。様々な気づき、反省がある。それをもとに今年一年を考える。
「一年の計は元旦にあり」、お正月に自分の人生を振り返り、目標を新たにすることが、自分の成長のために、良い効果をもたらしてくれると信じている。
皆さんにとって今年一年が良い年でありますように。