ブログリスクマネジメント

この言葉は、この3月末頃の新聞などに載った言葉である。
昨年の大震災と原発への対応問題への反省から、国民に今後の意識変革を促す意味があると考えられる。 特に、危機・リスクマネジメントなどに興味のある人たちには考えさせられるところが多い言葉である。
一般に、仕事には、目的があり、それを達成するための策として強み弱みも考える上に、更に色々なリスクも考えていく必要がある。そのリスク発生の可能性・頻度・起きた時の影響度なども出来うる限り客観的に想定し、対応策には優先順位が付けられる。
しかし、優先順位が低いと、費用対効果とか効率性などから、具体的な対応策は計らない場合が多い。が、多少のリスクを意識して、注意を怠らないようにする、つまり観察を継続することが大切になる。民間会社の経験からすると観察する分担を如何にするのかという課題はあるが、観察していこうとする意識があり(想定外に置かない)、少しでも状況変化があれば、優先順位を見直す姿勢があった。従って、リーダーの役割は大変であった。
今回の大震災や原発事故の問題の場合、リスクは認識されていたようである。が、頻度、可能性が低いこともあり、効率性などから想定外に置かれたのではと危惧される。
ここでの問題は、今回の言葉の中で「想定外」は、優先順位がかなり低いリスクを本当に想定外に置いてしまったという判断の扱い方にあるように思う。つまり、限られた資源と時間の使い方に対し、効率という判断が優先されたのではないのか。 
皆さんは、「想定外を想定する」という言葉には、納得される部分も多いとは思うが、何故今回のように想定してしまったのかをもう一度考えてみることも大切なことではないか。

想定外を想定する 【遠藤弘之】

2012/04/16
遠藤 弘之

この言葉は、この3月末頃の新聞などに載った言葉である。
昨年の大震災と原発への対応問題への反省から、国民に今後の意識変革を促す意味があると考えられる。 特に、危機・リスクマネジメントなどに興味のある人たちには考えさせられるところが多い言葉である。
一般に、仕事には、目的があり、それを達成するための策として強み弱みも考える上に、更に色々なリスクも考えていく必要がある。そのリスク発生の可能性・頻度・起きた時の影響度なども出来うる限り客観的に想定し、対応策には優先順位が付けられる。
しかし、優先順位が低いと、費用対効果とか効率性などから、具体的な対応策は計らない場合が多い。が、多少のリスクを意識して、注意を怠らないようにする、つまり観察を継続することが大切になる。民間会社の経験からすると観察する分担を如何にするのかという課題はあるが、観察していこうとする意識があり(想定外に置かない)、少しでも状況変化があれば、優先順位を見直す姿勢があった。従って、リーダーの役割は大変であった。
今回の大震災や原発事故の問題の場合、リスクは認識されていたようである。が、頻度、可能性が低いこともあり、効率性などから想定外に置かれたのではと危惧される。
ここでの問題は、今回の言葉の中で「想定外」は、優先順位がかなり低いリスクを本当に想定外に置いてしまったという判断の扱い方にあるように思う。つまり、限られた資源と時間の使い方に対し、効率という判断が優先されたのではないのか。 
皆さんは、「想定外を想定する」という言葉には、納得される部分も多いとは思うが、何故今回のように想定してしまったのかをもう一度考えてみることも大切なことではないか。

当事者意識 【岩本 亨】

2012/03/05
岩本 亨

警視庁の調査によると、首都圏で大地震が起こった時に「必ず帰宅する」と回答した人は、45%に上った。理由の一番は、「家族が心配だから」。働き盛りの父親が多いのか、「家族は自分が守る」という当事者意識を強く持っている様子が窺える結果だと感じた。

私は「岩本組」という、中小企業診断士の研究会の「組長」としても、5年近く活動している。現在は50人ほどの「組員」がいる。2ヶ月に一度の定例会と、個別にチームを組んでの中小企業支援活動が主な活動である。参加している「組員」の相互啓発と自己研鑽を目的とした、個々人の自主性をベースとした研究会である。最近、活発に活動する組員と、そうでない組員が明確に分かれてきた。定例会に参加する顔触れも固定化傾向である。今月17日に予定している定例会への参加予定者も10名ほどしかいない。この状況に対して、つい最近「自主性がベースの組活動なので、当事者意識を持ってほしいと」メッセージを送ったばかりである。

私自身がコンサルタントとして、経営が厳しくなった企業の相談に乗ることも多い。経営者と話していると、二つに分類できることがわかる。危機感を前面に表して「何とかしたい」と必死な人と、「本当に厳しさがわかっているのか?」とこちらが心配になるような人とである。従業員も危機感を持っている人と、そうでない人がはっきりしている。

先日面白い話を聞いた。とあるショッピングセンターにある時計屋さん。愛想の良い店員Aさんが、時計を買った時や、修理をお願いした時など、値引きしてくれたり、おまけをくれたり、何かとサービスしてくれていた。それを気に入って利用していた人も多かったようだ。ところがそのお店は閉店した。2ヶ月後、Aさんが経営者としてお店を新規開店した。お店の雰囲気はほとんど前と変わらず、Aさんの愛想も良かった。ただ、サービスに対しては、非常にシビアになった。少しでも利益確保しようという一生懸命さが伝わってくる。一店員の頃とは全く変わった。自分で経営するのとそうでないのとの違い。まさに当事者意識の差であろう。

当事者意識の希薄な人に、それを持ってもらうこと。組織の中では、リーダーの永遠の悩みであろう。実際に個人がその環境に置かれれば、持たざるを得なくなる。ではいかにしてそれを実現するか・・・? 私自身、独立して初めてすべてが自己責任の状態になったことに気づき、当事者意識を強くした経験がある。当事者意識を持って主体的に行動する方が、充実した人生を送れると、個人的には思っている。

思考停止 【遠藤弘之】

2012/02/20
遠藤 弘之

昨年の大震災から原発事故の一連の流れと国、自治体と電力会社などの組織体での対応策をリスクマネジメント(RM)の視点でみると色々考えされられた人は少なくないだろう。M9の地震、高15m以上の津波、全外部電源を失った原発事故、全村避難などの事態を”想定外”であったという言葉で議論されることが少なくないことはどうしてだろうか。
それぞれの立場での「リスク」への幅広い「想像力の欠如」、言い換えれば「思考停止」のようなことが行われていたことが、問題を大きくした原因にあるのではないのだろうか。
民間企業に勤めた経験から、まず企業として”想定外”という言葉は許されず、そうなった時には、その事業は生き残ることも出来ず、場合によっては企業自体が潰れてしまうことにもなる。前述した組織には、それぞれ立派な「リスクマネジメント」という考え方があっただろうが、実際には対応出来なかったのだろう。
が、やはり根本問題は、国(国民)全体の意識・覚悟・認識に一番の問題であったように思える。 例えば、安全神話、自分とは無関係、発生頻度は極めて低い、起こりそうもない事、何でも上部組織などへの依頼心、余計な事に金・時間を掛けないことがより効率的である・・・・など思うようになってきていたように思える。
このような状態を”思考停止”状態(想像力の欠如など)と言うのではないのだろうか? 
昨今の日本が、そういう”ムード、空気など“に覆われる傾向にあったことが、今回のような大きな災害・事故を引き起こしてしまったように思えてならない。皆さんは、如何思われるだろうか。

インフルエンザと企業経営に見る、リスク管理 【岩本 亨】

2012/02/06
岩本 亨

先日、とあるセミナーの打上げの会食があった。講師4人とスタッフ3名。私も参加した。隣に座ったS先生が時折咳き込んでいるのが気になったものの、楽しいひと時を過ごした。翌日S先生より、「病院でインフルエンザA型と診断された。前日から熱っぽかったが、会食の魅力に誘われて参加してしまった。申し訳ない。」との連絡があった。次の日会食に同席していたKさんが、インフルエンザA型と診断された。私もその日から、なんとなく調子が悪く、胸の痛みやせきの症状が出ていた。夜になって発熱した。「とうとう私も・・・」と、弱気になると同時に、次週に予定されているセミナーやコンサルティングのアポイントをどうすれば良いか?と悩んだ。S先生に対して「風邪の症状が出ているのだから、参加を遠慮できなかったのか?」と腹立たしく思った。翌日病院に行き、検査をしたところインフルエンザは陰性だった。医師に「ただの風邪」と言われ、安心すると同時に、情けない自分を確認した。

 

こんな事態を防ぐためにはどうすればよかったのか?以下の三点に集約される。

①まず、S先生が参加しないこと。

②私自身がインフルエンザの予防接種を受けていること。

③リスクヘッジとして、代替講師を想定していること。

 

これを企業経営に例えてみる。取引先(S先生)が倒産し、連鎖倒産が発生(Kさん)、同じ状況の私があたふたしている状況である。上記三点については、以下の対応であろうか。

①危ない会社と付き合わない。または、与信管理をしっかり行うこと。

②「経営セーフティ共済」(中小企業倒産防止共済制)を活用し、毎月一定額の掛金を積み立てておくこと。

あるいは、セーフティネット貸付制度等、連鎖倒産を防ぐ施策を研究しておくこと。

③社長が何らかの事情で機能できなくなった時、誰がどのように代替するのか事前に決定しておくこと。

 

リスクを想定し、事前対応が可能なことについてきちんと備えておくことは、リスク管理の基本。弊社の研修プログラムとしても提供しているが、講師を担当しているものとしてきちんとできていなかったことに気づき、反省した次第である。

切磋琢磨した絆~海図なき大航海に向かって~ 【長屋勝彦】

2012/01/09
長屋 勝彦

2011年の大きな出来事は公私ともに3月11日(金)の大震災であった。震災当時、秋田県のある機械加工工場で研修中であった。当日は研修終了後社長と共にその日の秋田新幹線で帰途に着く予定であった。震度7の揺れが数分続き全員が工場の駐車場に出た。揺れが治まり工場に入り機械を点検したが計測器は壊れ、機械はいざり、この状態での運転は不可能な状態であった。

 

買い置きの電池がありテレビ、ラジオでニュースを見聞きした。東京まで辿り着く飛行機、新幹線による移動手段はなく、本日までお世話になったホテルに宿泊することにした。電話が通じないのでその工場の社員の方が車で、ホテルに行き宿泊を申し込み、受け付けをしていただいた。電気が通じていないので信号機が作動せず車の運転には気を使ったということを聞いた。

 

幸い社員の家、家族の方には問題はなくそれぞれが運転する機械の状態を確認、上司に報告して終業前ではあるが16時頃に退社した。

 

翌日は休みの土曜日であったが全員出社した。出社しても停電中であり機械を運転することはできないが故障した機械の点検、修理にあたった。

 

研修では、「リーダーとは部下を通して組織目的の効率的達成を図る人であり、部下が積極的、意欲的、自発的に達成しようと仕向けることが大切である。」ということを常に言っているが、日常業務にはその研修効果が発揮できていない状況にある。

 

社員は機械の点検を終え帰宅したが、工場長及び幹部社員は午後からも残り社長と共に今後の対応について協議した。夕方になり電気、水道、ガスのライフラインが回復した。リーダーの自発的行動により、工場長が中心となり各リーダー、社員に連絡し翌日の日曜日から操業を開始することになった。

 

今回のことで、震災前日の木曜日を含め4日間滞在したことになるが、私的には、ホテルの方には快く宿泊を引き受けていただくと共に炊き出しをはじめ何かとお世話になった。又、工場の社員の方にも弁当をごちそうになったり、携帯電話を充電していただいたり、細かなことまでお世話をいただいた。

 

社長とは、常々「リーダーに如何にして危機感を持たせることができるか」、「そのためにはどうすればよいか」ということを話しているが、今回の震災ではお互いに助け合い、率先して自分たちの職場を守ろうとする社員の気合を感じた。当工場は、この時点で、組織の成立要因である、目的意識、貢献意欲、コミュニケーションのすべてを満たしていたということになる。テレビ番組等でも言われる日本人の絆が当工場にもあることを実感した。

 

早速次の月(4月)の朝礼で、「当工場もやる気になればできる。この気持ちを忘れずに危機意識を持ち仕事をして欲しい」と話したが、現在の雰囲気は「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」、元に戻ったような感じもする。

 

しかし、教訓として、中小企業とはいえ、1社、1工場は危険、秋田工場の他、現在の本社工場のあり方も見直さねばという結論を得た。リスク管理に対する対処の仕方もシビアになった。

 

2012年も海図なき航海であり、行く先には荒波が待っている。企業は環境対応業であり、その荒波をうまく乗りこえることである。当社の強みはトップクラスの企業を顧客として持っている。その顧客維持のためには技術のブレークスルーが必須である。

 

さすれば、TPPを活用し世界の企業を直接顧客とし取引することも夢ではない。そのためには、お互いに傷をなめ合う絆ではなく、切磋琢磨した絆が必要である。

 

余談ではあるが、3月13日の日曜日工場長の運転により新潟までドライブをし、上越新幹線で帰途に着いた。