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~組織は環境に従う~企業再生に当たって  【長屋勝彦】

2012/10/08
長屋 勝彦

 

T商工会議所の中小企業再生支援専門家アドバイザーの仕事を始めて8年が経過する。化学工業に属する会社に勤務していたためか、製造業関連の事案が多い。

T商工会議所の行う再生支援は、主に債権者である融資先の金融機関が、再生企業である中小企業との協議により行う、中小企業に関する私的再生支援である。

 

再生支援の仕事は、①事業デューデリジェンス(事業デューデリ:事業精査)、②財務デューデリジェンス(財務デューデリ:財務精査)、③中小企業の作成する事業計画及び資金計画の作成支援、④当再生支援計画に基づき債権者と協議により行う再生債権の返済期間(リスケ)等の決定支援である。

 

この中で、中小企業診断士は①事業デューデリとともに、③中小企業の作成する事業計画作成(営業利益)が、その事業の属する市場ニーズに適合できているかという視点から診断する。

 

製造業でいえば、価格志向性の強い製品は海外製品との競争上不利となり中小企業の事業領域とは言い難い。中小企業が国内に生産拠点を持つことができるのは、きめ細かな納期対応、競合他社と比べ差別化された品質・技術を有するといったことが生き残るための条件として具備しているかが問題となる。従って、事業デューデリ及び当中小企業の作成する事業計画に対するコメントは、競合他社との差別化点、その差別化をもたらしている要因に焦点をおき行う。

 

即ち、中小企業の行う事業がその事業を取り巻く市場環境に適合し、その市場で競合他社と比べて競争上有利に立てるかにある。その意味で、企業経営は環境適応業であり、経営学者チャンドラーのいう「組織は環境に従う」という言葉が中小企業再生支援にも当てはまる。

 

もとより、中小企業支援はその中小企業の行っている事業を見直すことにより、その企業を元気にし、雇用を確保するということを肝に銘じ当たらなければならない。又、企業再生のためには、「経営者の優れたリーダーシップ、組織一体となった危機感の共有、必要な資金源の確保が条件として備わっていなければならない」ということを否定することではない。

 

その意味で、今後もエクセレントパーフォーマンスを目指す意欲ある中小企業支援の仕事に注力していきたい。

以上

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