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経営学の古典を読む 吉田健司

2016/10/24
吉田 健司

「世界で最初の総合的経営書を知っていますか」と、私はある研究会で参加者に投げかけてみた。答えを返してくれた方はいなかったが、私もこれまで意識したことはなかったので、期待していた反応であった。スピーチのつかみにこの言葉を使わせてもらった。意図した答えは、「現代の経営」である。ダイヤモンド社のドラッカー名著集2.・3現代の経営(上・下)で認識した言葉である。
私は、ドラッカーの書を会社勤めの時代から読んできた。特に、はじめて読むドラッカーマネジメント編「チェンジ・リーダーの条件」、自己実現編「プロフェッショナルの条件」、技術編「テクノロジストの条件」は、自分で読み込み、部下に紹介し、課長クラスの部下には、任意で感想文の提出を求めたこともあった。また、マネジメントの全訳版は、今でも1年に1回は通読すると決めている。
私の場合、今まで「現代の経営」を読むきっかけがなかった。最近、目標管理に関するある研究事業に参加したので、「現代の経営」を読むことにした。その理由は、「現代の経営」で目標管理MBOの概念が紹介されたとされるからである(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2003年11月号「P.F.ドラッカーマネジメントの源流」。
私が読んだ感想を一言でいうと、論語のように奥深い古典であった。ドラッカー名著集2.・3現代の経営(上・下)は、全部で550ページ程度になるが、5月のブログで紹介した私の三読の通り、続けて三回読んだ。読むたびに新たな発見と学びがある。ドラッカーの世界的評価は「現代の経営」によって確立されたとされるが、ドラッカーがまえがきで読みやすい入門書を意図したと説明しているとおり、マネジメントを総合的に学ぶ教科書として、一読されることを強くお薦めする。

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