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~守破離ということ~マニュアルだけでは革新はできない 長屋 勝彦

2015/08/10
長屋 勝彦

守破離とは、剣道や茶道などで、修業における段階を示したもので、「守」は師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階、「破」は他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階、「離」は一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階をいう。

 「ものづくり」においても先ずマニュアルを「守」ることから始める。マニュアルは作業標準手順書で、新入社員は上司、先輩社員からマニュアルに基づいて仕事の仕方を習う。「破」はマニュアルにとらわれず自らに創意工夫により仕事の能率を上げることである。具体的には仕事を正確に、早く、安く、楽に行うため、仕事の仕方を見直し改善を行う。「離」は独自の仕事の仕方を革新(考案、発明)し、成果をあげる。

 現在関わっている会社においても、作業者に対しマニュアルに即した丁寧な手取り足取りするような指導はしない。作業者が上達するような仕方で指導する。現在の作業者の力量は「守」の段階から「破」の段階に入り自分の仕事の工夫をする者が多く会社としての力量(技)は世間から評価されている。しかし、「離」の段階に相当するような「異次元」の仕事をする者は皆無に近い。この分野の技術者であり、経営者でもある知人は技術屋ではないが材料の物性(物理的性状:物質に固有な密度・融点・沸点・比熱や電気伝導・屈折)を文献、大学の研修室で学び材料、加工方法に最適の加工技術を習得した。

 現在関わっている会社に対して、この経営者のような努力を作業員に期待するのは無理ではあるが、せめてこの道(この業界)で一流を目指そうとするマインドだけでも植え付けるのが努めであると思う昨今である。
以上

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