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今年のもの補助~申請支援による戦略的思考力の向上~長屋 勝彦

2015/05/10
長屋 勝彦

 今年のもの補助(ものづくり・商業・サービス革新補助金)は2月13日に始まり5月8日に終わった。締め切り前のゴールデンウイーク中も申請作業にかかわり家族サービスができなかった方もおられると思う。補助金の申請期間としては3か月近くあり十分な準備期間はあるが、子供の夏休みの宿題と同様、締め切り間際に診断士のところに申請支援の依頼に来る中小企業者も多いと聞く。

 もの補助の制度が始まったのは、阿部内閣が発足し成長戦略の一環として中小企業施策の目玉として打ち上げた2年前である。中小企業の設備投資額として十分とは言えないが、それでも限度額1,000万円の補助金額は魅力的である。

 そんなわけで、この補助金制度がスタートした最初の年は顧問先に応募を進めた。資金的に困っているわけではないが3社が応募し、幸い3社とも採択された。2年目は設備投資に対する要求がなく3社とも応募しなかった。

 3年目の今年、4月半ばに入り、顧問先の社長の紹介による1社、友人の紹介による1社から申請支援の依頼があった。この他、顧問先の1社が応募するということで今年は3社の申請支援を行うこととなった。

 補助金申請支援にあたっては、申請した事業の本質を理解してもらうため申請者である経営者と補助事業の意味、内容についてお互いに腑に落ちるまで話し合うという姿勢で臨む。こうすることにより新たな気付きを得てもらいたいからである。決して丸投げという形で引き受けることはしない。補助金申請を通じて戦略的思考力を高めてもらいたいと念じている。

 そんなわけで、紹介により支援した2社にはかなりの時間を割いた。とりわけ、革新的サービス分野で応募したクラウドを活用した情報システム系の会社には手間取った。もう1社の3Dプリンター用樹脂による造形物製造業者からは現在研究中の試作についてサポイン(戦略的基盤技術高度化支援事業)を視野に産学協同による研究開発事業の推進について協力することとなった。

 報酬については顧問先企業に対してはサービスの一環として採択の如何にかかわらず受け取らない。そうでない企業についてはこちらから金額を提示することはしない。ある先輩診断士の方がいわれた、報謝という言葉が今も頭の中にある。当該補助事業を通じて中小企業の発展があればよし、としている。
以上

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