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「易経の言葉から学びを得る」 吉田健司

2020/01/28
吉田 健司

前回、宮城谷氏の三国志を読む前に、史実について自分なりの予備知識を持ってから小説を読むことで新たな学びがあると書いた。まだ、三国志の世界に入っていないが、今年になって新たな学びを得た。それは易経の言葉である。

私は今「易経(周易)」を読んでいる。長年積読状態だった岩波文庫の「易経」をおよそ20年ぶりに通読している。「易経」の通読は2度目である。岩波文庫は、原文、読み下し文に現代語が付されていて理解しやすい方なのだが、私の漢文の知識では、原文を読むのに大変な時間がかかる。句読点の区切り単位で原文を眺めて自分なりに想像し、読み下し文を確認する作業を繰り返している。これまで何度か書斎の背表紙に目を止めて、読みたいと思うことはあったがなかなか再読を決断できなかった。
今回再読を始めた理由は、『易の話「易経」と中国人の思考(金谷治著講談社学術文庫)』にある。講談社学術文庫のこの1冊は、「易経」について、四書(大学・中庸・論語・孟子)五経(書経・易経・礼記・詩経・春秋)を中心とした儒教の書にうらないの書がなぜ含まれているのか疑問を持っていた私に、易経がうらないの書でもあり思想哲学の書であることを教えてくれた。ここ10年余り毎年再読しているが、理解を深めるために、易経の原文を岩波文庫で読んでみようと思って次第である。

まだ、易経を読み終えていないが、心に残った語句がある。それは「終吉(ついによし)」である。ストレスの多い日々であっても、苦労の甲斐があると、心のなかで「終吉(ついによし)」と唱えている。

カテゴリー:  経営情報

 今年の行動指針~ブレークスルー~長屋 勝彦

2020/01/08
長屋 勝彦

 今年はブレークスルーという言葉で年賀状を出した。
 ブレークスルーという言葉を初めて聞いたのは呉羽化学工業(今のクレハ)の当時の上司である企画本部長の専務から半世紀前に聞いた言葉である。

 専務は、実験に基づく機能的思考を重んじる化学系タイプ(必ずしもそうではないが)の人間ではなく、物事を論理的に思考するタイプで仕事の目的を定義しその目的をどのように実現させるのかという演繹的思考に基づいて仕事をする経営者であった。

 24年前同社を退社し、中小企業診断士として企業診断に当っている現在もこの言葉(ブレークスルー)を薫陶として受け止め中小企業の事業計画策定から現場で発生している身近な問題解決に至る迄の支援・指導に当っている。

 大企業でもそうであるが特に中小企業では社長とか上司のいう事には逆らえないという気風が散見される。会社が決めたことであるからとか社長がおっしゃるから仕方がないということを言い訳として業務改善・改革を放棄している企業が多い。

 このような中小企業の経営者、社員に対し物事に対する道理(原理原則)と客観的事実である現状を直視し丁寧にブレークスルーのための対話を心がけている。

 景気・不景気の狭間で生きる中小企業にとってオリンピック後の経営環境は厳しいものがある。この様な環境下において中小企業が持続可能な成長を遂げるためのあるべき姿としてのビジョンを設定し、設定したビジョン実現支援のため、自分自身も更なる自己研鑽による自己革新-ブレークスルー-に向かって行動していきたい。

 その意味でもチャレンジ精神を発揮し敢えて火中の栗を拾う気持ちで今年も行動していきたい。
以上

カテゴリー:  経営情報

社員の現場力向上~長屋 勝彦~

2019/12/25
長屋 勝彦

 令和元年も残すところ1週間となった。
 メールを見ていたら、現場社員の組織力向上研修テーマの項目に、「現場力向上の養成」という言葉が目に入った。

 日頃から顧問先の社員に、「原理・原則に即した実践的行動」として「基本に立ち返り担当する仕事の問題解決」、「現場・現物・現実に基づく3現主義の徹底」を説いているが、「現場力」をどの様に定義するのかが気になり、この言葉のキーワードとして、「組織力」、「現場力」について考えてみた。

 バーナードは「組織」の成立要件として組織目的、貢献意欲、コミュニケーションの3の要素が整っていることを挙げている。

 組織目的は、「企業としてのビジョンの実現であり、定量的には企業価値、付加価値、生産性といった経営目標値の達成」という事であるが、現場で働く社員にとっては付加価値を構成する、製品の品質(Q)、コスト(C)、納期(D)の達成ということになる。又、貢献意欲は組織目的を達成しようとする社員のモチベーション・やる気の醸成ということであり、コミュニケーションは社員間のコミュニケーション(意思疎通)が形成されていることになる。

 要するに、上司からの指示ではなく現場の社員が積極的、意欲的に自ら生産性向上(具体的にはQ、C、D向上)のため働くことであるということができる。

 「現場力向上」という場合、現場で働く個々の社員能力向上ではなく現場全体として能力(能率)向上をいう。例えば、野球というスポーツでいえば確実に1点を取り勝利を得るためにはホームランバッターでもバントをするという行為である。

 企業は物を生産し、販売し利益を得るという行為により企業活動が成立する。従って、企業には営業部門、生産部門、管理部門といった企業としての役割を果たすための組織が必要であり、各々の組織に現場が存在する。

 企業は規模の大小にかかわらず持続的発展が運命づけられているが、環境変化の激しい今日においては、組織に働く社員はそういった環境変化に対応するため常に自ら考え、行動することが求められていると考えた時、現場力とは「現状を改善・改革する力」であると思考する。

 年末、顧問先企業の反省会に参加するが、その企業の社長、管理者、社員と「現場力」について話し合ってみたい。
以上

「漢・後漢」の時代も学べば興味深いものがある 吉田健司

2019/12/23
吉田 健司

以前も書いたが、私は古代中国の古典を読み、関連する歴史を学び、古代中国を題材とした小説を楽しんでいる。その一方で中国の古典を学ぶことの意味を考え続けている。
最近になって心境の変化があった。私の興味は、長い間春秋・戦国時代にあった。今でもそれは変わらないが、その後の秦、漢、三国の時代も学ぼうと思うようになった。理由は、そろそろ宮城谷昌光氏の三国志を読みたいからである。

私は宮城谷昌光氏の歴史小説の愛読者である。30代前半から40代前半は司馬遼太郎作品を繰り返し何度も読んで、多くのことを学んだ。同様に宮城谷昌光作品からも多くのことを学んでいる。

ただ、時代は秦以前が中心であった。最近になって、漢王朝を作った劉邦、後漢王朝を打ち立てた光武帝を主人公とした作品も読むようになった。合わせてその時代を題材にした講談社学術文庫や中公新書を読んでいる。
私は、中国古典はその思想家が活躍した時代(秦以前)と思想が書物として成立する時代(漢以後)が異なっていると漠然と思っていたが、そこに政治的な影響の重みを感じることができ、学べば興味深いものがある。

そのため、宮城谷氏の三国志を読む前に、漢、後漢、三国時代について研究者の書した講談社学術文庫や中公新書を読んで学んでいる。これは初めての試みだが、史実について自分なりの予備知識を持ってから、小説を読みたいと考えてのことである。そうすることで新たな学びがあると自分自身に期待している。

カテゴリー:  人材育成, 吉田健司

平成30年度「能力開発基本調査」について その2   吉田健司

2019/11/26
吉田 健司

前回に引き続き、平成30年度「能力開発基本調査」の取りまとめ結果から、「自己啓発を行う上での問題点」をテーマとして取り上げる。なお、能力開発基本調査の用語の説明では、自己啓発を、「労働者が職業生活を継続するために行う、職業に関する能力を自発的に開発し、向上させるための活動をいう」としている。

労働者全体では 76.4%が、自己啓発を行う上で何らかの問題があると回答している。正社員の79.9%、正社員以外の70.5%が問題あると回答している。

自己啓発における問題点の質問項目と問題があるとする割合は次の通りである。
・仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない(正社員59.3%、 正社員以外36.7%)
・費用がかかりすぎる(正社員27.9% 、正社員以外29.8%)
・家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない(正社員24.7% 、正社員以外35.5%)
・どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない(正社員22.3% 、正社員以外21.8%)
・自分の目指すべきキャリアがわからない(正社員19.2% 、正社員以外22.5%)
・自己啓発の結果が社内で評価されない(正社員17.7% 、正社員以外10.5%)
・適当な教育訓練機関が見つからない(正社員15.0% 、正社員以外18.8%)
・休暇取得・定時退社・早退・短時間勤務の選択等が会社の都合でできない(正社員12.9% 、正社員以外8.8%)
・コース等の情報が得にくい(正社員12.5% 、正社員以外14.5%)
・コース受講や資格取得の効果が定かでない(正社員11.9% 、正社員以外10.0%)

上記より、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」と時間的な問題を抱えている人の割合が高いのが見てとれる。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の実施する生産性向上支援訓練のモデルコースにおいても時間管理に関する訓練を実施しており、私も講師を経験したが、短期的で優先度の高い仕事に日々没頭している状況を変える難しさを痛感している今日この頃である。

カテゴリー:  人材育成, 吉田健司