ブログ中小企業経営

東京商工会議所が平成21年10月に発行した「中小企業のためのダイバーシティ推進ガイドブック」では、「ダイバーシティという言葉は通常『多様性』と翻訳され、企業経営においては『人材と働き方の多様化」を意味します。」と紹介したうえで、ダイバーシティを活かした経営を、「従業員の様々な『個性を基とした違い』を企業内に取り入れ、活用することにより、組織力を強化すること」と定義しています。

もともと職場においては、極論かもしれませんが「共通の価値観で行動を制限しなければ、統率がとれない」との考え方が一般的でした。「一人一人の価値観を認めたら、組織が崩壊してしまう」と考える経営者やマネジャーもいたのではないでしょうか?

そういえば、組織論の泰斗 チェスター・バーナードが唱えた組織の成立要件は「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つで、共通価値はありません。共通目的が明確であることが重要で、どんな価値観を持っているかについては触れられていないのです。

 

日常にも価値観の違いを感じさせることがありました。

先月、出張の際に実家に一泊。夕ご飯は、母が作ってくれました。献立はその日、山から採ってきたうどのきんぴらや山菜の天ぷら、家の前の畑から取ってきたばかりの野菜のサラダ、近所のスーパーで買ってきた地物のトビウオとイカの刺身でした。私が絶賛すると、母は「こんなものがごちそうかねぇ?。魚以外は家の周りで採れたものだけど」と言っていました。野菜は取りたてならではの「香り」と「甘み」と「えぐみ」がありました。こんな野菜を東京で食べようとしたらとんでもない値段になってしまうでしょう。お店で買ってきたのは刺身くらい。それもその日の朝、獲れたもので新鮮でした。

東京と故郷とどちらが豊かなのか? 経済的観点では明白です。でも人は経済価値だけでは評価しません。収入は低くても、田舎でゆっくり、地産地消でおいしいものを食べて暮らしたいという人もいますよね。

価値観の違いを活かす 【岩本 亨】

2013/06/03
岩本 亨

東京商工会議所が平成21年10月に発行した「中小企業のためのダイバーシティ推進ガイドブック」では、「ダイバーシティという言葉は通常『多様性』と翻訳され、企業経営においては『人材と働き方の多様化」を意味します。」と紹介したうえで、ダイバーシティを活かした経営を、「従業員の様々な『個性を基とした違い』を企業内に取り入れ、活用することにより、組織力を強化すること」と定義しています。

もともと職場においては、極論かもしれませんが「共通の価値観で行動を制限しなければ、統率がとれない」との考え方が一般的でした。「一人一人の価値観を認めたら、組織が崩壊してしまう」と考える経営者やマネジャーもいたのではないでしょうか?

そういえば、組織論の泰斗 チェスター・バーナードが唱えた組織の成立要件は「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つで、共通価値はありません。共通目的が明確であることが重要で、どんな価値観を持っているかについては触れられていないのです。

 

日常にも価値観の違いを感じさせることがありました。

先月、出張の際に実家に一泊。夕ご飯は、母が作ってくれました。献立はその日、山から採ってきたうどのきんぴらや山菜の天ぷら、家の前の畑から取ってきたばかりの野菜のサラダ、近所のスーパーで買ってきた地物のトビウオとイカの刺身でした。私が絶賛すると、母は「こんなものがごちそうかねぇ?。魚以外は家の周りで採れたものだけど」と言っていました。野菜は取りたてならではの「香り」と「甘み」と「えぐみ」がありました。こんな野菜を東京で食べようとしたらとんでもない値段になってしまうでしょう。お店で買ってきたのは刺身くらい。それもその日の朝、獲れたもので新鮮でした。

東京と故郷とどちらが豊かなのか? 経済的観点では明白です。でも人は経済価値だけでは評価しません。収入は低くても、田舎でゆっくり、地産地消でおいしいものを食べて暮らしたいという人もいますよね。

補助事業が中小企業経営に与えるインパクト 【長屋勝彦】

2013/05/14
長屋 勝彦

阿部のミックスの成長戦略のおかげで、今年は中小企業のものづくりに対する支援策が厚い。その一環として、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(以下ものづくり補助金)をはじめとして地域需要創造型等起業・創業促進補助金(以下創業補助金)に係る公募が3月中旬から4月中旬に行われた。

ものづくり補助金の申請には経営革新認定事業期間の確認書が必要である。

今年2月に経済産業省の経営革新等認定支援機関としての認定を受けていたこともあり、顧問先の要請により補助事業に係る補助金の申請支援にかかわった。

 

補助金の申請支援は、10数年前に独立して以来の仕事である。当時は今より暇があり、中小企業ベンチャー振興基金(中小企業投資育成株式会社)、中小企業基盤整備機構(当時の中小企業事業団)の課題対応研究開発事業、繊維に係る研究開発事業、NEDO(新エネルギー開発機構(NEDO)の研究開発事業、都道府県の行う中小企業創造活動促進法に係る研究開発補助事業等に係る顧問先の補助金申請支援の他、中小企業投資育成株式会社に対する転換社債の申請支援と、独立後数年間は申請書作成支援の仕事に明け暮れた。

 

独立間もない若手社長と問答の末申請書を作成したこと、認可された補助金を活用し補助事業活動を行い一定の成果をあげたが、民事再生のため、作成者が解雇され報告書の作成が困難となり、代わって作成し補助金の交付を受けたこと、提出期限が迫り電話とメールによる支援により提出期限に間に合わせたこと、友人の紹介で作成を支援したが代金が現在も未払いになっていることなど、当時の出来事が懐かしく思い出される。蛇足であるが、現在も、かかわったすべての方とは交際が続いている。

 

補助金の意義は、補助事業(研究開発)による業績の向上、顧客及び金融機関等ステークホルダーからの高い評価による経営力の向上にあるが、補助事業がテコになり経営者をはじめ従業員が研究開発による価値創造を目指そうとする意欲が高揚されることにある。当然その結果は、企業の持続的発展と雇用の増加をもたらし地域発展に貢献することになることに繋がる。しかし、その反面、単に補助金の受給を目的とするのみで研究開発活動におざなりな企業、補助金を支給されたが経営不振により中座し辞退した企業、補助金を運転式に廻した企業、個人のために流用した企業もある。

 

補助事業の支援にあたっては、当該企業の事業領域、製品力、技術開発力を診断することが必要であるが、経営者としての資質、心構えも見定め、これからも、グローバルニッチトップ企業を目指す中小企業支援の意味でも補助事業支援を行っていくこととし、今年度は、大型補助事業であるサポイン(戦略的技術基盤高度化支援補助事業:3年間、1億円弱)を目指す企業の育成指導を図ってきたい。

 

以上

資格のミッション、仕事のミッション 【岩本 亨】

2013/04/01
岩本 亨

みなさんは中小企業診断士という資格をご存知ですか? 私自身も中小企業診断士ですが、資格の知名度が低いためか、「何それ?」という反応をされることも良くあります。コンサルタントの国家資格です。

昨年の試験合格者の、多くは今年の3月中に登録し、4月から活動を始めています。私の所属する中小企業診断士の研究会「中小企業政策研究会」にも新入会員がたくさんが入ってきてくれました。

 

そんな彼らに対して、毎年私は以下のようなメッセージを送っています。

「中小企業診断士に期待されているのは、中小企業を支援することによってその会社を発展させ、ひいては日本経済の発展に貢献することです。皆さんは資格のミッションを良く認識して、自らの行動を考えてください。あなたが合格したために不合格になった方がいます。合格したあなたがミッション(使命)を果たさないのであれば、それは一種の背任行為だと私は思います。合格した人には合格した責任があります。その責任を意識して活動してください」と。もともとは資格の学校の創業社長である、TAC株式会社CEOの斎藤博明氏のメッセージを参考にしたものです。

 

4月から新しい生活を始めた方も多いと思います。就職された方、異動で今までと違う仕事を担当することになった方・・・。それぞれの方々が期待に胸を膨らませて新生活を送っていらっしゃるでしょう。一方で、意に反した境遇に意気消沈されている方もいらっしゃるかもしれません。

その仕事のミッションは何ですか? あなたがその仕事を獲得する過程で、意図的ではないにしても、結果的に他の人の機会を奪っていませんか? 「実力で獲得したことだから、いいじゃないか?」という考え方もありますが、上述のような考え方をしてみると、仕事そのもののとらえ方が変わってくると思います。

 

どのような仕事であっても、期待されていることがあるはずです。裏返せばその仕事を担当する人のミッションとも言えます。仕事をする際に、それを意識できるかどうかで、成果も違ってくるでしょう。仕事上で迷うことがあっても、それに立ち返れば答えが見えてくることがあります。

私は独立して仕事をしていますので、それぞれの仕事のミッションについては、常に意識するよう努力しています。大学を卒業して独立するまでの19年間は、サラリーマンをしていました。その時は、自分がその会社に就職できたために不合格になった人がいることを意識した記憶がありません。また担当業務のミッションを深く考えた記憶も、残念ながらありません。どちらかというと受け身で仕事をしていたのだと思います。

そんな私が言うのもおかしなことかもしれませんが、「せっかくその会社に入ったのなら」、「せっかくその仕事の担当になったのなら」と、ミッションを意識しながら、積極的に行動してみてください。そうすれば、仕事そのものを自分がマネジメントできるようになります。受け身ではなく、主体的に仕事をすることで、そこから得るものも大きく変わってくると思います。

新年度を迎えて、改めて発信してみました。人に発信すると、自分に跳ね返ってきます。私も意を新たにして努力していきたいと思います。

自業自得で考えてみると・・・ 【岩本 亨】

2013/03/04
岩本 亨

昨年6月4日のブログにも記述したが、金融円滑化法が今年度末をもって期限切れを迎える。昨年11月1日に金融担当大臣が「法律の期限が切れても、考え方は踏襲する」という談話を発表した。最初は何を言っているのかよくわからなかったが、いろいろと情報収集をしたところ、以下のような解釈のようである。 「リスケ(返済猶予)していても、経営改善計画を立てて支援金融機関の同意も得た上で、きちんと経営活動をし、最低限80%以上の達成状況であれば、支援をし続ける。債務者区分も正常債権のまま据え置く。」

この債務者区分だが、金融機関は貸し出している先の企業のランク付けをしている。監督官庁である金融庁の指導もあるため、きちんと対応している。正常債権であれば、その企業に金融機関は新規融資できるが、不良債権になってしまえば、その企業には新規融資できなくなる。

金融機関は毎年一度、各貸出先企業の自己査定を行い、債務者区分の見直しをする。経営状況が芳しくない状態が続き、経営改善計画の達成もままならない企業については、債務者区分が引き下げられることになる。そうなると、金融機関の態度は「支援」から「回収」へと変わる。

「金融機関の態度が手の平を返したように、急変した」という話をよく聞く。マスコミはそれを称して「貸し剥がし、貸し渋り」と言っている。私が聞く限りほとんどのケースで、金融機関はルールに則って対応している。経営状況が悪くなってしまったので、仕方がない対応なのである。

どうすれば良いか・・・?。経営状態を良くする以外にはない。しっかりした計画を立て、金融機関の合意を取り付け、確実に達成していくのである。

「景気が悪いから」、「政治が悪いから」・・・といろいろな言い訳をする経営者がいるが、話を聞いてみると、ほとんどのケースで経営の基本的なことがきちんとできていない。「やるべきことをやらずして、外部環境のせいにしていたって、会社経営はうまくいかないでしょ・・・?」

良い結果でも悪い結果でも、結果には必ず原因がある。その原因を自分以外に求めている限り会社の成長は難しい。このことは、個人についても言える。

仕事上で何等か悪い結果を招いてしまった時、みなさんはどのように考えますか?  自業自得の観点で、振り返ってみると、気が付かなかったことが見えてくるかもしれません。私自身の自戒を込めて・・・。

会社は誰のためのもの~フリーキャッシュの使い道~ 【長屋勝彦】

2013/02/11
長屋 勝彦

来月は決算期の月である。会社の通信簿として所得申告のため貸借対照表、損益計算書及び上場企業ではキャッシュ・フロー計算書を作成し開示する。この中で、キャッシュ・フロー計算書が面白い。キャッシュ・フロー計算書を見ていると企業それぞれの資金の集め方、使い方というか、経営の仕方がわかる。

 

フリーキャッ・フロー(営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー)がある企業がそのキャッシュ・フローを新規事業投資に回している会社、リスクに備えて保険を掛けている会社、借入金の返済に充てている会社、借入金を完済し新規投資もしないで現金預金を増やしている会社などさまざまである。

 

中小企業でフリーキャッシュのある会社は保険に入り節税を図っている会社が多い。

保険には、経営者を対象とする経営者保険、従業員の退職金を対象とする養老保険、退職金保険、労働災害保険、会社の固定資産を対象とする火災、地震保険等がある。

 

保険に入ることは将来に対するリスク管理であり、そのこと自体を否定するものではないが、フリーキャッシュの内、どの程度を保険に回すかが問題である。保険に入る前に借入金の返済による財務体質の強化、新規投資等による事業拡大を検討する必要がある。

 

又、掛け金の全額が損金扱いになるが、会社倒産等の場合でも退職金は直接従業員に支払われるということで共済事業(中小企業退職金共済事業)に加入しない企業もある。反対にその場合(倒産等)に多少の金額でも従業員が手にすることができれば、従業員にかける迷惑が少なくなると考え、少額を中退協に月々掛けている企業もある。

 

会社は誰のためにあるのかといった場合、欧米では株主のためといわれているが、会社は顧客あって成り立つものであり、その顧客対し製品を作っているものは従業員であり、それを支えているものは地域社会であるといったことを考えるとき、中小企業も将来の成長のため新規投資により顧客満足を図っていくとともに福利厚生の増進により従業員満足を図っていくことが生存の条件であると思う。