ブログ中小企業支援

みなさんは中小企業診断士という資格をご存知ですか? 私自身も中小企業診断士ですが、資格の知名度が低いためか、「何それ?」という反応をされることも良くあります。コンサルタントの国家資格です。

昨年の試験合格者の、多くは今年の3月中に登録し、4月から活動を始めています。私の所属する中小企業診断士の研究会「中小企業政策研究会」にも新入会員がたくさんが入ってきてくれました。

 

そんな彼らに対して、毎年私は以下のようなメッセージを送っています。

「中小企業診断士に期待されているのは、中小企業を支援することによってその会社を発展させ、ひいては日本経済の発展に貢献することです。皆さんは資格のミッションを良く認識して、自らの行動を考えてください。あなたが合格したために不合格になった方がいます。合格したあなたがミッション(使命)を果たさないのであれば、それは一種の背任行為だと私は思います。合格した人には合格した責任があります。その責任を意識して活動してください」と。もともとは資格の学校の創業社長である、TAC株式会社CEOの斎藤博明氏のメッセージを参考にしたものです。

 

4月から新しい生活を始めた方も多いと思います。就職された方、異動で今までと違う仕事を担当することになった方・・・。それぞれの方々が期待に胸を膨らませて新生活を送っていらっしゃるでしょう。一方で、意に反した境遇に意気消沈されている方もいらっしゃるかもしれません。

その仕事のミッションは何ですか? あなたがその仕事を獲得する過程で、意図的ではないにしても、結果的に他の人の機会を奪っていませんか? 「実力で獲得したことだから、いいじゃないか?」という考え方もありますが、上述のような考え方をしてみると、仕事そのもののとらえ方が変わってくると思います。

 

どのような仕事であっても、期待されていることがあるはずです。裏返せばその仕事を担当する人のミッションとも言えます。仕事をする際に、それを意識できるかどうかで、成果も違ってくるでしょう。仕事上で迷うことがあっても、それに立ち返れば答えが見えてくることがあります。

私は独立して仕事をしていますので、それぞれの仕事のミッションについては、常に意識するよう努力しています。大学を卒業して独立するまでの19年間は、サラリーマンをしていました。その時は、自分がその会社に就職できたために不合格になった人がいることを意識した記憶がありません。また担当業務のミッションを深く考えた記憶も、残念ながらありません。どちらかというと受け身で仕事をしていたのだと思います。

そんな私が言うのもおかしなことかもしれませんが、「せっかくその会社に入ったのなら」、「せっかくその仕事の担当になったのなら」と、ミッションを意識しながら、積極的に行動してみてください。そうすれば、仕事そのものを自分がマネジメントできるようになります。受け身ではなく、主体的に仕事をすることで、そこから得るものも大きく変わってくると思います。

新年度を迎えて、改めて発信してみました。人に発信すると、自分に跳ね返ってきます。私も意を新たにして努力していきたいと思います。

資格のミッション、仕事のミッション 【岩本 亨】

2013/04/01
岩本 亨

みなさんは中小企業診断士という資格をご存知ですか? 私自身も中小企業診断士ですが、資格の知名度が低いためか、「何それ?」という反応をされることも良くあります。コンサルタントの国家資格です。

昨年の試験合格者の、多くは今年の3月中に登録し、4月から活動を始めています。私の所属する中小企業診断士の研究会「中小企業政策研究会」にも新入会員がたくさんが入ってきてくれました。

 

そんな彼らに対して、毎年私は以下のようなメッセージを送っています。

「中小企業診断士に期待されているのは、中小企業を支援することによってその会社を発展させ、ひいては日本経済の発展に貢献することです。皆さんは資格のミッションを良く認識して、自らの行動を考えてください。あなたが合格したために不合格になった方がいます。合格したあなたがミッション(使命)を果たさないのであれば、それは一種の背任行為だと私は思います。合格した人には合格した責任があります。その責任を意識して活動してください」と。もともとは資格の学校の創業社長である、TAC株式会社CEOの斎藤博明氏のメッセージを参考にしたものです。

 

4月から新しい生活を始めた方も多いと思います。就職された方、異動で今までと違う仕事を担当することになった方・・・。それぞれの方々が期待に胸を膨らませて新生活を送っていらっしゃるでしょう。一方で、意に反した境遇に意気消沈されている方もいらっしゃるかもしれません。

その仕事のミッションは何ですか? あなたがその仕事を獲得する過程で、意図的ではないにしても、結果的に他の人の機会を奪っていませんか? 「実力で獲得したことだから、いいじゃないか?」という考え方もありますが、上述のような考え方をしてみると、仕事そのもののとらえ方が変わってくると思います。

 

どのような仕事であっても、期待されていることがあるはずです。裏返せばその仕事を担当する人のミッションとも言えます。仕事をする際に、それを意識できるかどうかで、成果も違ってくるでしょう。仕事上で迷うことがあっても、それに立ち返れば答えが見えてくることがあります。

私は独立して仕事をしていますので、それぞれの仕事のミッションについては、常に意識するよう努力しています。大学を卒業して独立するまでの19年間は、サラリーマンをしていました。その時は、自分がその会社に就職できたために不合格になった人がいることを意識した記憶がありません。また担当業務のミッションを深く考えた記憶も、残念ながらありません。どちらかというと受け身で仕事をしていたのだと思います。

そんな私が言うのもおかしなことかもしれませんが、「せっかくその会社に入ったのなら」、「せっかくその仕事の担当になったのなら」と、ミッションを意識しながら、積極的に行動してみてください。そうすれば、仕事そのものを自分がマネジメントできるようになります。受け身ではなく、主体的に仕事をすることで、そこから得るものも大きく変わってくると思います。

新年度を迎えて、改めて発信してみました。人に発信すると、自分に跳ね返ってきます。私も意を新たにして努力していきたいと思います。

社内旅行に参加して 【長屋勝彦】

2012/12/10
長屋 勝彦

精密加工機械部品製造会社の社内旅行に参加した。東北の秋の紅葉を愛でる旅である。その会社は、柔軟な納期対応により、高品質の製品を顧客に提供している。そのため、価格は多少高くても多くの優良企業と直接取引し、欧州経済の停滞、中国関係の悪化にもかかわらず好調な業績を保持している。その原因は、いわゆる匠の技という領域には程遠いが作業者である熟練された技能にある。

 

社長は、町工場規模から20歳代半ばで独立した方で、社員教育に熱心である。今から10年前、この会社の社員教育・指導の依頼を受けた。社員教育といっても技術面ではなく、自分自身の経験を通して優れた技術者、管理者となるための取り組み方、心構えについての指導である。

 

現在の作業レベルは、時間(残業)をかけてどうにか顧客の要求する製品を作り、顧客に届けている水準である。この会社が今後も生き残るには、時間をかけないで(残業をしないで)現在の作業レベルの仕事をこなし、よりレベルの高い(高精度)仕事への取り組みが必要である。そのための方策は自分自身で考え実行するよりほかは無い、いわば創出(仮説検証)の世界である。そのためには、自分が仕事で一流になるのだという気概を持つことが必要であり、そのための心構えを作業員(管理者を含め)に植え付けるのが社長から依頼された使命であると考えている。

 

常々従業員に、「自分のビジョンを持ち、この世界で一流になるように」と話しているが、反面、従業員個々人が個性を出しすぎると会社全体のチームワークにひびが入る。組織で仕事をするにはチームワークとしての和も必要であり、個人の力量アップと組織の風土作りが重要であると思っている。

宴会の席でスピーチを求められたが、「今回の社内旅行の意義は、野外研修であり、仕事を離れたときに何かを感じて帰るとともに、同じ釜の飯を食っていることであり、チームとしての連帯を深める場であって欲しい」という話をした。スピーチ後、診断士である自分にもこのことはいえると思った。 今回の旅行は、東北の紅葉を体験するとともに多くの人と話し、行動でき有意義なものであった。

環境変化に柔軟に適応すれば生き残れる 【岩本 亨】

2012/12/03
岩本 亨

ダーウィンは進化論の中で「最後まで生き残る種族とは、強いものでも知能が高いものでもない。変化できるものだ」と唱えています。環境変化に対応できないものは生き残れないということですが、これは生き物でも、組織でも同様です。

今年6月のブログにも書きましたが、金融円滑化法が今年度末で期限切れを迎えます。11月1日に金融担当大臣が「期限切れ後も、対応は何ら変わらない。考え方を踏襲していく」との談話を発表しました。「借入金元本の返済猶予(リスケ)を引き続きしてくれる」と解釈できそうですが、そうではないと思います。

もともと金融円滑化法は、「リスケ要請があったら、いったん受け入れてあげなさい。ただし一年以内にきちんとした経営改善計画を策定し、それに真摯に取り組み、成果を上げることが条件です」という趣旨です。その前半部分だけを根拠に「リスケは法律で認められた権利だ!」と主張する経営者もいたと聞きました。

では、今年度末の期限切れ以降はどうなるのでしょうか?。後半部分の状況次第で対応は変わるということだと思います。法律に定められた通り、リスケしてもらっても、一年以内にきちんと経営改善計画を策定して、真摯に取り組み、成果を上げている企業については引き続き支援してもらうことができるでしょう。ただし、そうでない企業は支援打ち切りになる可能性が高いと考えた方が良いと思います。

企業経営を考えれば当たり前のことです。自己資本と借入金で事業をしている場合、事業の儲けによって借入金を返済しなくてはなりません。景気が悪くなって、儲からなくなっても約束したお金は返さなければなりません。きちんとした経営者は、約束を守るために必死になります。

でも中には、「儲からなくなったのは、自分のせいじゃない。景気が悪いからだ。政治が悪いから景気が良くならないんだ」と言っている経営者もいます。この経営者のをどう考えますか?

友人から頼まれてお金を貸しました。約束の期限になっても返してきません。催促すると「景気が悪くて儲からなくなったから返せないんだ。俺が悪いんじゃない」と言われました・・・。と同じようなことです。もうしばらくはお金を返してくれるのを待つかもしれませんが、いつか限界が来ると思います。その人を助けてあげようなんて気持ちは、薄らいでいくと思いませんか? 金融機関も同じです。冒頭のダーウィンの言葉の通り、環境変化に適応しないと生き残れないのです。どんな組織でも、一個人でも同じです。

今年一年、いろいろな環境変化がありました。私自身どれだけそれに適応できたか? でき切れていない部分は、努力してそうなれなければなりません。そんなことを考えつつ、師走に日本中を駆け回ります。

中小企業にとっての「世界に一つだけの花」とは 【長屋勝彦】

2012/11/12
長屋 勝彦

テレビのニュースで、日本著作権協会が過去30年に放送、カラオケで歌われた歌100曲を発表し、その1位が世界で一つだけの花であるということを知った。

ナンバーワンにならなくてもよい、オンリーワンになればよいという歌詞が人々の共感を得たものである。この歌詞の意味はナンバーワンになろうとして背伸びをし、無理をした生き方をするより、充実感を得られ得る自分に合った生き方をすることが自分の人生にとって大切であるということである。

 

この曲は10年前に発表されたが、最初に聞いたのは中小企業診断士の実務補習の最終日で、中小企業診断協会東京支部に診断報告書を提出し、診断先での診断報告会で報告し、反省会も終わって帰途に就くタクシーの中であった。

 

人材、資金の乏しい中小企業の生きる道はニッチ市場であり、そこでトップ企業というよりオンリーワン企業を目指すべきであるということを日ごろから思っており、この歌が印象に残った。

 

あれから10年、今もその考えは変わっていない。ワールドワイドな事業展開を求められる環境にあって、人材、資金の乏しい中小製造業が生き残る道は日本に開発拠点を置く企業と連携し差別化できる技術を確立することにつきると今も考え、そのための中小企業支援に注力している。

 

しかし、活路を見いだせた企業もあるが、今は大きな成果は得ていない。今後も、中小企業診断士として何をする必要があるか、何ができるかといったことを常に考え行動していきたいと念じている。

時差がない赤道近くの途上国にいて感じたこと 【丸山芳子】

2012/10/29
丸山 芳子

考えに詰まったときには環境を変えると、意外に思いもつかないアイディアがわいてくるものである。

 

現在、東ティモールに滞在している。21世紀に入ってから独立した、まだ出来立ての国である。独立時の紛争などの報道映像がまだ記憶に新しいため、で危険な印象があるかもしれないが今のところ治安に問題はない。その平和さから、滞在している国連監視団が当地での勤務を「パラダイスミッション」と呼んでいるぐらいである。

 

では経済状況はどうなっているかといえば、首都ディリでは老いも若いもみんな携帯電話を使っており、若い通訳君もパソコンを使いこなしているなど、近代化が進んでいる側面もある。

 

一方で、市場では冷蔵ケースもなく、魚屋ではどの店も板の上にそのまま魚を置いて陳列しておりまったく鮮度管理ができていない。こういう光景を目にすると、つい「製氷機を最初に購入した店が抜け駆けて儲けだすだろうなぁ」と思ってしまう。

 

また、タクシーがたくさん走っているがすべて個人営業である。したがって夜、レストランからホテルに帰るときに車を呼んでもらおうと思っても、配車センターがあるわけではないため、タクシーをつかまえるのは容易ではない。こういうときにも、「レストランから安心して帰れるなら多少高い値段を払ってもよいという人をターゲットにしてタクシーセンターを作ると儲かるなぁ」と考えてしまう。

 

日本と東ティモールの現状を比較することで、日本では気にもかけていなかったことが、重要な社会インフラであることに気づかされる。

 

今、日本では経済の停滞が深刻で、事業の行き詰まりを感じている経営者が多いと思われる。経済が活発なときには、時代の流れがどこに向かっているかを考えれば事業の方向性を見つけるアイディアはわきやすいかもしれない。しかし経済が不活発なときに、現状を打破できる、事業の方向性を考え出していくのは容易なことではない。

 

そういうときには、仕事と関係なくても思い切ってまったく違う環境に身をおいてみるのはどうだろうか。もっと大きな時代の変化を目の当たりにすることで、新しい事業へのアイディアがわいてくるかもしれない。

 

時差がない赤道近くの途上国にいて感じたことである。