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~油断~企業の死角    長屋 勝彦

2015/07/13
長屋 勝彦

とある企業の診断をした。その企業は従業員十数名で年商3億円弱、車による移動距離1時間内の大企業を顧客とする設計、切削加工、機器組み立てを業とする機動力のある優良企業である。社長は2代目で創業者の巨額の負債を完済し業績をV字型させた経営者で、自ら顧客に出向き顧客ニーズ、シーズを具現化し商品化に結び付ける事業家でもある。

 約2か月にわたり社長ヒヤリングと財務諸表によるリスクを想定した事業計画を作成し診断報告書を作成し社長に対し立地、マーケティング、人材育成についてプレゼンテーションした。

 提案に対して社長は提案内容に賛同したが、直ちに実行するというコメントはなかった。例えば商圏内に存在する新規取引先からのオファーに対し人手不足ということで断っているとのことである。しかし、環境は常に変化するが、その時点で今回の診断を思い起こすことでよいのだと思った。今回の診断は限られた条件の中での診断であったが的確な条件設定に基づく優れた内容の診断であった。

 企業が抱える問題として三つの種類の問題がある。一つはその問題により弊害が出ている問題、もう一つは現在発生していないがこのままの状態が続けば弊害が出るでる問題、三つ目は現状の環境では現在および将来とも問題は発生しないがある種の条件が変わった場合に発生する問題である。

 経営では三つ目の問題を想定しリスク対応を講じた事業計画を作成しリスクの狭小化策を講ずる。同社が自社なりの持続可能な事業計画を作成し実行することを期待する。

 とにあれ、中小企業も含め、企業診断は企業を動かす経営者を診断するとことであると思った。又、数年後に診てもらいたいという社長の言葉が頭に残った。
以上

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