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組織の文化 【遠藤弘之】

2012/01/16
遠藤 弘之

年末、年賀状の作成にインクジェットプリンターを使う人が多くなった。
20年程前、C社のインクジェットプリンターをバブルジェットプリンター(BJ)と称され、家庭用に広まり出した頃であった。が、印刷速度が遅く、印刷精度も低く、性能は、今とは比較にならない位悪かった。
そこで、性能向上を狙った機能部材を提案すべく、C社を訪問する機会があった。
その時、お会いした方は、このBJプリンター開発に17年間も携わってきた人で、その開発から実用化までの苦労話の一端をお聞きすることが出来た。
とにかく、開発テーマが、風前の灯になったりしながら、紆余曲折を経て、実用化に辿り着いたとのことでした。その中で最も興味を魅かれたは、”同じテーマを同じ人が、17年間も続けられた理由”についてであった。

そのことに対しては、「長期に渡って、組織と開発者との間に、目的意識と信頼感が、共有化出来たことが一番」とのことであった。

筆者の経験から言って、開発が計画通りに進まない場合、5年も10年も継続することは、大変難しいのが実感である。
継続のためには、組織のしっかりしたビジョン・目標、意志、覚悟が必要だと言われる。それはそうだが、開発者が継続したくても、”費用対効果、他テーマとの比較、グループ内の意欲維持などの諸問題”が出てきて、難しくなる場合が多い。
C社は、それを乗越えて実用化し、世界の中でトップクラスの事業に成長させたのである。
その基になったものは、技術開発力とか、ビジョン等ということを超える何かがあったのではないか・・・それは、「組織の文化」というものでは無いのかと思うようになったのは、大分後のことであった。
このことは、新商品開発だけでなく、新規事業開発にも、共通することであろう。