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能力開発と労働生産性の関係 吉田健司

2017/08/28
吉田 健司

 2015年6月のコラムで、2008年中小企業白書の「労働生産性を意識している企業は、意識していない企業に比べて売上高経常利益率が顕著に高い傾向に見られる」という記述を紹介した。この労働生産性(付加価値/ 労働投入)について、平成28年度労働経済の分析(厚生労働省)がテーマに取り上げている。内容で興味深いのは、労働生産性の上昇には、人的資本形成の一つである能力開発が重要であると確認している点であるが、今回は、企業の能力開発への関与のあり方は大切であると、私があらためて認識させられた分析結果を二つ紹介したい。
一つ目は、「OJT の実施とOFF-JT の実施には相乗効果が認められ、両者共に積極的に実施していくことが高い労働生産性を達成するには重要である」という分析である。二つ目は、「企業が積極的に労働者の能力開発に関与しているところほど労働生産性が高い傾向がみられる」という分析である。
 企業主体で労働者の能力開発方針を決める場合には、企業の考えにあった訓練が行われ、より効果的な能力開発が行われるというメリットあるとされる。また、従業員一人ひとりの能力・資質を更に高め、能力を最大限発揮させることは、労働生産性の向上のみならず企業の持続的な発展にも寄与するとされる。
 この能力開発の考え方について、平成28年度能力開発基本調査(厚生労働省)の調査結果を見ると、正社員に対する能力開発の責任主体については、「企業主体で決定」するとする企業は24.4%( 前回25.3%)、「企業主体で決定に近い」とする企業は51.7%( 前回51.3%) となっている。
 平成28年度労働経済の分析では産業別の分析、企業規模別の分析も行われているので、一読をお薦めする。

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