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労働法の基礎知識も大切だと思う 吉田健司

2017/01/22
吉田 健司

長時間労働が疑われる 10,059 事業場に対して、労働基準監督署が平成28年4月から9月までに実施した監督指導の結果が、厚生労働省から今月公表され、66.2%の事業所で労働基準法などの法令違反があった。この公表を読んで、企業に勤めていたころ、職場で労働法の研修講師を務めたことを思い出した。基礎的な知識を学習する研修であったが、労働法を理解しておくことは、労働者が自身の権利を守ることにつながるので、有意義な研修だったと自負している。
身近な例として、通勤を考えてみたい。一般に労災保険と呼ばれている労働者災害補償保険では、労働者の通勤による負傷、疾病、傷害又は死亡を、通勤災害として保険給付の対象としている。労災保険の通勤の定義は、保険給付の有無にかかわる重要事項である。
例えば、通勤に該当する移動のひとつに、住居と就業の場所の往復がある。就労に関して、この移動を合理的な経路及び方法で行う場合を、業務の性質を有するものを除き通勤というが、次のような特別な決まりがある。
① 合理的な通勤経路を逸脱・中断した場合は、合理的な通勤経路から逸脱・中断の間と、合理的な通勤経路に復帰後の移動の間は、通勤と認められない。
② 日常生活上必要な行為のために、合理的な通勤経路を逸脱・中断した場合は、合理的な通勤経路に復帰後の移動の間は、例外的に通勤と認められる。
この例のように、一般的常識的な範囲に加えて、もう少し広く深く理解しておきたいテーマは多々あると思う。ただ、労働法は、労働基準法・最低賃金法・職業安定法・労働者災害補償保険法・労働組合法など労働に関する法律の総称で、法律の数は多く効率的に学習するのが難しいかもしれない。まずは、厚生労働省が、就職を控えた学生や若者向けに作成した『知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~』などを活用して概要を学習することをお薦めしたい。

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