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計画的なOJT 吉田健司

2016/07/25
吉田 健司

私は、日ごろ地方自治体の職員研修にかかわる立場から、多くの自治体の人材育成基本方針に目を通してきた。その策定指針(総務省)によると、職員の能力開発については、職員自身が自発的に取り組む自己啓発、職場において上司・先輩等が仕事を通じて行う職場研修(OJT)及び日常の職場を離れた所で実施する職場外研修(Off-JT)の3つが柱とされている。このOJT、OFF-JT、自己啓発は、産業界でもよく知られていると思う。
私も企業で積極的に取り組んできたが、とりわけOJTは難しいと感じていた。職場で仕事を通して部下を指導するといっても、千差万別だからである。OJTは、意味するところを丁寧に説明する必要があり、職場の共通語として使いにくいと感じていた。
ところが最近、厚生労働省能力開発基本調査の新しいデータに目を通していて、OJTを広義と狭義に分ける例があるということに気がつき、自分の勉強不足を自省している。
この能力開発基本調査では、「OJT」と「計画的なOJT」が使われており、用語の解説はそれぞれ次の通りである。
「OJT」とは、日常の業務に就きながら行われる教育訓練のことをいう。直接の上司が、業務の中で作業方法等について、部下に指導することなどがこれに当たる。
「計画的なOJT」とは、日常の業務に就きながら行われる教育訓練(OJT)のうち、教育訓練に関する計画書を作成するなどして教育担当者、対象者、期間、内容などを具体的に定めて、段階的・継続的に実施する教育訓練をいう。例えば、教育訓練計画に基づき、ライン長などが教育訓練担当者として作業方法等について部下に指導することなどが、これに含まれる。
能力開発基本調査では、「重視する教育訓練はOJTかOFF-JTか」、「計画的なOJTの実施状況」というように使い分けられている。
平成27年度の調査では、平成26年度に「計画的なOJT」を正社員に実施している事業所は約59%で、階層別では、新入社員約51%、中堅社員約38%、管理職約25%となっている。
私は、企業で「計画的なOJT」にあたる教育訓練を組織に導入定着させる取り組みを長年行ってきたので、「計画的なOJT」を実施する事業所が毎年増加してほしいと思う。

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