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      ~伴走者としての中小企業診断士の役割~長屋 勝彦

2018/12/18
長屋 勝彦

 先月のブログ「~仕事今昔~二枚の写真から振り返る50年前と今の私」を読んだ顧問先の会長から「先生には人生で一つの変極点となったかも知れないが、このことにより人生が変わった方もいるのでは———」と言われた。

 構造改革という名前の基に行われた合理化により、二つの工場のうち一つの工場は生産品目(繊維以外の品目)の転換により閉鎖に至らなかったが、もう一つの繊維加工を行っている工場は閉鎖となった。幸い、当工場は大阪に近く土地の売却に苦労はなかったようだが、雇用問題では人事・労務の方は苦労されたと思う。

 繊維事業自体は引き続き継続していくので、経営者の方、技術者の方は親会社に転職され生産技術の仕事に携わっていかれたが、当工場で生産に携わっておられた製造部門の方は失職され、新たな職探しに苦労されたかと思うと胸が痛む。同時に、雇用問題を担当された人事・総務の方の心境は如何ばかりであったかと推察する。

 当時30歳そこそこの自分はそこまで思いが至らず、数年後の繊維事業の黒字転換を喜んだが、その陰で関係した方の人生を左右する出来事(ドラマ)あったのだと思うと複雑な気持ちになる。

 さすがに創業50余年仕事でも幾多の修羅場をくぐって来られた会長の言葉は鋭く、ズシンとくるものがある。

 中小企業診断士は単に診断だけではなくその企業に寄り添ったアドバイスが必要であり、その意味で中小企業により沿った伴走者としての役割が求められるということを改めて認識した。

 残り少ない診断士生活であるが中小企業支援、人材育成を使命として係わっていきたい。余談であるが、その夜の忘年会で社長に「菩薩の心と夜叉の心」を持った経営について語った。

以上

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