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「サービス労働の生産性」への思い 吉田健司

2017/07/24
吉田 健司

前回のコラムで書いた中小企業白書のほかに、私がバックナンバーを大切にしている月刊誌がある。2000年10月から月刊誌となったDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューである。それ以前は隔月刊ダイアモンド・バード・ビジネスであった。私の書斎には1999年9月以降のバックナンバーが揃っている。このバックナンバーは、積読状態の書籍を久しぶりに通読で読み直す私流の再読をこれまで2度行うなど、資料として読みかえすことも多く貴重な情報源である。
 最近の掲載論文で興味深かったのは、26年前のピーター・F・ドラッカーの論文である。DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号に、「名著論文再掲」として掲載されている。興味を持った理由は、テーマが知識労働やサービス労働の生産性向上だからである。以前コラムにも書いたが、会社勤務時代、製造業の生産管理をサービス業に活かすための創意工夫に取り組んだ経験から、ドラッカーの示す生産性向上のためのステップは共感できることが多く、さらに今まで気が付かなかった示唆を与えてくれた。
 1例を紹介すると、ドラッカーは継続学習の必要性を主張している。私には、学習する組織に近づけるために、新たな知識やスキルを習得すること、思考の枠組みや行動様式そのものを変化させることなどをどのように実現すればよいか試行錯誤していた時期がある。また、仕事の目的をより良く達成する手段を選択することや、ムダを排除するために創意工夫することを組織として学習するにはどうしたらよいか試行錯誤していた時期がある。どちらも在職中に満足できる結果を残すことはできなかったと自省している。
今あらためて「訓練の最大の成果は、新しいことを学ぶことではなく、すでにうまくいっていることをさらにうまく行うべく、みずから継続して学習することによってもたらされる。(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号)」というドラッカーの言葉に触れて、私の視野がまた少し広がったように感じている。

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