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心理的な罠 吉田健司

2017/05/22
吉田 健司

10年程前になるが、意思決定でよく見受けられる心理的な罠について社内向けにコラムを書いたことがある。参考にした書籍は、意思決定アプローチ「分析と決断」(1999年初版  ジョン・S・ハモンド/ラルフ・L・キーニー/ハワード・ライファ著 小林龍司訳 ダイヤモンド社)である。
この書籍は、第10章で11種類の心理的な罠を取り上げている。「目につくことしか見ない、自己正当化の罠」、「過去の意思決定を正当化したうえで現在の意思決定を考える、過去の支出の罠」、「選択肢の数が多いほど現状維持が好まれる、現状維持の罠」など、日常身近で見聞きするような心理的な罠もあり、それらの回避テクニックは大変勉強になったと記憶している。
最近、あらためて興味のある部分を読み直したところ、新たな気づきがあった。それは、「現状を変えるのに必要とされる労力やコストを大げさに考えない」というテクニックについてである。以前は読み流していたフレーズである。
当時の私は、現状を変えるためには、まず人からだと考え、どうやったら変われるかという視点で考えていた。国分康孝著「自分を変える心理学」(PHP文庫)を愛読し、自分を変える3要素「思考・感情・行動」の話をたびたび紹介したりしていた。
今回の気づきは、なぜ変われないかの視点も重要ということである。どうやったら変われるかを考えることの大切さを伝える前に、なぜ変われないかを深掘りすることを伝えた方が良かったのではと自省している。前回テーマとした「メタ認知」をもっと取り入れていかなければと思う今日この頃である。