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「キャリア健診」に思うこと 吉田健司

2017/03/27
吉田 健司

今回は「キャリア健診」をテーマとする。私は「キャリア健診」を経験したことはないが、厚生労働省の委託で平成23年3月に公益財団法人日本生産性本部が作成した「キャリア健診マニュアル」を読んで興味を持った。
「キャリア健診」の目的は、企業における人材育成の現状を把握し、従業員へのキャリア形成支援を促すとともに、個々の従業員に対してキャリア形成意識を喚起することで、企業と従業員のより良い共生関係の構築に資することとされている。見方を変えると、企業が従業員へのキャリア形成支援を考える際の手本となると思う。
「キャリア健診」では、キャリア・コンサルタントが企業に対して、従業員へのキャリア形成支援に関する提案・アドバイスを行うが、その材料となるのは、企業と従業員へのアンケート、人事担当者等へのヒアリング、従業員へのカウンセリングなどである。
企業に関するアンケートは、企業におけるキャリア形成支援の現状と今後について、①キャリア目標の設定、②キャリア形成支援、③職場のサポート、④キャリア形成の自律性、⑤働き方の裁量性の5つの領域で20の設問が用意されている。このアンケートは、企業と従業員に同じ質問をすることで、両者の意識や考え方の共通性と相違等の関係を把握するように設計されている。
また、従業員に関するアンケートは、従業員の仕事と生活に対する意識、態度、行動について、①職務意識、②自分のことを知っている度合い、③将来のイメージ、④現在と将来に向けての取り組み、⑤身体と心の健康、⑥仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の6つの領域で45の設問が用意されている。
このうち企業に関するアンケートにおいて、企業と従業員に同じ質問を行い、両者の意識や考え方の共通性と相違等の関係を把握する手法は、中小企業診断士として、企業の経営診断を行う際に、経営者と従業員に対して行う意識調査の意図に通じるところがあるため、私は興味を持った。
また、企業におけるキャリア形成支援に関する第1の設問「会社の経営理念に基づいた「求める人材像」が明確に示されている」は、私が経営革新のサポートを行っている顧問先で、重要テーマの一つとして取り組んでいることである。「求める人材像」を明確に示しているか、「求める人材像」は従業員にとって明確になっているか、両側面から考えてみることをお薦めする。

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