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価値観の違いを活かす 【岩本 亨】

2013/06/03
岩本 亨

東京商工会議所が平成21年10月に発行した「中小企業のためのダイバーシティ推進ガイドブック」では、「ダイバーシティという言葉は通常『多様性』と翻訳され、企業経営においては『人材と働き方の多様化」を意味します。」と紹介したうえで、ダイバーシティを活かした経営を、「従業員の様々な『個性を基とした違い』を企業内に取り入れ、活用することにより、組織力を強化すること」と定義しています。

もともと職場においては、極論かもしれませんが「共通の価値観で行動を制限しなければ、統率がとれない」との考え方が一般的でした。「一人一人の価値観を認めたら、組織が崩壊してしまう」と考える経営者やマネジャーもいたのではないでしょうか?

そういえば、組織論の泰斗 チェスター・バーナードが唱えた組織の成立要件は「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つで、共通価値はありません。共通目的が明確であることが重要で、どんな価値観を持っているかについては触れられていないのです。

 

日常にも価値観の違いを感じさせることがありました。

先月、出張の際に実家に一泊。夕ご飯は、母が作ってくれました。献立はその日、山から採ってきたうどのきんぴらや山菜の天ぷら、家の前の畑から取ってきたばかりの野菜のサラダ、近所のスーパーで買ってきた地物のトビウオとイカの刺身でした。私が絶賛すると、母は「こんなものがごちそうかねぇ?。魚以外は家の周りで採れたものだけど」と言っていました。野菜は取りたてならではの「香り」と「甘み」と「えぐみ」がありました。こんな野菜を東京で食べようとしたらとんでもない値段になってしまうでしょう。お店で買ってきたのは刺身くらい。それもその日の朝、獲れたもので新鮮でした。

東京と故郷とどちらが豊かなのか? 経済的観点では明白です。でも人は経済価値だけでは評価しません。収入は低くても、田舎でゆっくり、地産地消でおいしいものを食べて暮らしたいという人もいますよね。