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想定外を想定する 【遠藤弘之】

2012/04/16
遠藤 弘之

この言葉は、この3月末頃の新聞などに載った言葉である。
昨年の大震災と原発への対応問題への反省から、国民に今後の意識変革を促す意味があると考えられる。 特に、危機・リスクマネジメントなどに興味のある人たちには考えさせられるところが多い言葉である。
一般に、仕事には、目的があり、それを達成するための策として強み弱みも考える上に、更に色々なリスクも考えていく必要がある。そのリスク発生の可能性・頻度・起きた時の影響度なども出来うる限り客観的に想定し、対応策には優先順位が付けられる。
しかし、優先順位が低いと、費用対効果とか効率性などから、具体的な対応策は計らない場合が多い。が、多少のリスクを意識して、注意を怠らないようにする、つまり観察を継続することが大切になる。民間会社の経験からすると観察する分担を如何にするのかという課題はあるが、観察していこうとする意識があり(想定外に置かない)、少しでも状況変化があれば、優先順位を見直す姿勢があった。従って、リーダーの役割は大変であった。
今回の大震災や原発事故の問題の場合、リスクは認識されていたようである。が、頻度、可能性が低いこともあり、効率性などから想定外に置かれたのではと危惧される。
ここでの問題は、今回の言葉の中で「想定外」は、優先順位がかなり低いリスクを本当に想定外に置いてしまったという判断の扱い方にあるように思う。つまり、限られた資源と時間の使い方に対し、効率という判断が優先されたのではないのか。 
皆さんは、「想定外を想定する」という言葉には、納得される部分も多いとは思うが、何故今回のように想定してしまったのかをもう一度考えてみることも大切なことではないか。