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研修に学ぶ~長屋 勝彦~

2018/07/15
長屋 勝彦

 D社の「成果の上がる業務改善(3時間、4日)」の研修講師をした。
 D社の工場見学により事例を作成しテキストを編集した。テキストは同社目線で作成できた様に思う。同社課長から「考える研修」をして欲しいとの要望により正確な用語の定義に基づきテキストを作成した。

 同社は当研修の前に問題解決、品質管理の研修を続けて実施、今回が3回目の研修であり応用面に重点を置いた研修にして欲しい旨の要望もあった。そこで、業務改善も一種の問題解決であり、今回の研修と問題解決研修はどのように異なるかということを冒頭に説明した。

 具体的には、問題とはあるべき姿と現状の差(乖離)をいい、改善は現在の仕組みを前提とした問題解決であり、手法的には両者は同一であるということを説明し研修をスタートさせた。ついでに、改善の対語である改革についても定義した。

 2日目の研修を開始するに当たり担当課長から受講者が難解であるという感想をもっているというコメントをもらった。

 今回の研修は「考える」研修であり、問題について「あるべき姿からの乖離」と説明したのが判りづらかったのかと思い、問題を「悪さ加減」と説明した。又、問題解決の一手法としてSWOT分析の手法を紹介したが専門用語として機会、脅威、マクロ環境、ミクロ環境という言葉が馴染まなかったらしい。

 この話を聞いて以前にある学者が土壌改良について話をした時に農家の人が「どじょう」についてその意味がわからず話の内容が全く理解できなかったという逸話を思い出した。

 同課長からSWOT分析は受講者である生産部門の人も知っておくべき手法であるが、機会はチャンス、脅威はピンチという言葉で説明して欲しい旨の話を聞き、ビジネスチャンス、リスクという言葉に変えて説明した。

 しかし、品質管理の研修を受けているせいか、「なぜなぜ分析」、「フィッシュボーン法」という用語は抵抗なく受け入れてもらえた。

 研修の狙いは、研修で学習した知識の活用力(考える力)の向上にあると思う。この意味で定義の説明については広辞苑等の辞典を使い正確に定義する必要がある。又、受講者の今後を考えると受講者に馴染めない手法(SWOT分析)の紹介も必要であると思う。

 用語の正確な定義は必要であるが、受講者目線で話し説明することの大切さを学んだ。この年になってもまだまだ学ぶことが多い日々である。
以上