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中国の古典に思う 吉田健司

2015/11/23
吉田 健司

私は20年以上古代中国の古典を読み、関連する歴史を学び、古代中国を題材とした小説を楽しんできた。そして多くの仲間に古典を読むことを薦めてきた。一方で中国の古典を学ぶことの意味を考え続けてきた。
四書(大学・中庸・論語・孟子)五経(書経・易経・礼記・詩経・春秋)を中心とした儒教の書物だけでなく、老子、荘子、孫子、韓非子、戦国策、史記、三国志等から数多くの故事・名言・名句が生まれ、日本人にとって教養の源であり、貴重な人生訓・処世訓になっている。
一般的に語られている言葉をいくつか列挙してみたい。
「さまざまな状況で役立つ知恵、指針、助言などがから、視野が広がり、視点が変わる。」
「ビジネス社会を生きぬく知恵、人生の指針として役に立つ。」
「知性と感性を磨き、ゆたかな表現力を身につける助けとなる。」
「変化の時代を生きるための人間学といえる。」
「激しい変化の過程で人間を厳しくみすえている。」
私の経験からもうなずくことのできる言葉ばかりである。

私は企業に勤めていたころは、古代中国の古典のうち特に管子と韓非子を愛読していた。統治の書としての価値を感じており、春秋・戦国時代の君主と宰相の関係を現代の企業に当てはめて考える楽しみがあった。たとえば、経営者は企業の今後を左右する重要な決断をしなければならないが、経営上、もっとも頼りになる「右腕」となる人材をおくことによって、経営者が誤った判断をしたとしても正すことが可能になる(中小企業白書2005)。春秋・戦国時代の各国の君主と臣下の物語は、経営者と右腕の関係や、経営者と経営メンバーとの関係において、いろんな示唆や教訓を与えてくれる。
さらに春秋・戦国時代からは集団を動かすことを学ぶことができる。火器等の武器のない時代の戦争は人と人の戦い、人の集団の戦いの様相が鮮明で、戦争の物語は組織の行動学につながるものがある。勝者とは、俯瞰できるもの、時間的空間的に物事を捉えることのできるもの、情報収集に勝るもの、学習し思考を巡らし行動する質の高さで勝るものなどである。

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