ブログ吉田健司

 以前ブログで、私は、ドラッカーの「マネジメント(全訳版)1973年初版「無修正版」4分冊(2008年第1版日経BP社)」を毎年1回は通読すると書いた。例年であれば、年末年始の期間を使って、通読にかなりの時間を要する書籍を読むことにしているが、昨年末から年始にかけて研修で使うテキストの仕上げを行っていたため、先日ようやく再読をスタートさせることができた。
この「マネジメント」は、ドラッカー初期の著作群を紹介する百科事典といった趣があり、啓蒙的なケース・スタディがちりばめられている(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビュー2003年11月号)。

 私が会社勤めをしていたころの話だが、口を開けば「ドラッカーを読め」と熱く語る先輩がいた。私も強く薦められたが、定期購読していたダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビューでドラッカーの論文を読む程度で、本を買って読むことはなかった。その頃は、私の抱えている課題に示唆を与えてくれるものではないように思っていたからである。

当時はマイケル・ポーターの競争戦略論や野中郁次郎氏の知識創造理論に興味があった。実際何冊かの書籍を読み込むことで、所属する部門の将来を考えるために有用な示唆をたくさん与えてもらった。
「ドラッカーを読め」とアドバイスをくれた先輩の思いがようやくわかったのは、自分が部の運営を預かるようになってからである。中小企業診断士の試験勉強の過程で経営に関する本をたくさん読んだおかげで、ドラッカーが多少理解できるようになったのだと思う。
その後の私は、後輩にドラッカーを読むように薦めていた。

ドラッカーを読む 吉田健司

2019/01/28
吉田 健司

 以前ブログで、私は、ドラッカーの「マネジメント(全訳版)1973年初版「無修正版」4分冊(2008年第1版日経BP社)」を毎年1回は通読すると書いた。例年であれば、年末年始の期間を使って、通読にかなりの時間を要する書籍を読むことにしているが、昨年末から年始にかけて研修で使うテキストの仕上げを行っていたため、先日ようやく再読をスタートさせることができた。
この「マネジメント」は、ドラッカー初期の著作群を紹介する百科事典といった趣があり、啓蒙的なケース・スタディがちりばめられている(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビュー2003年11月号)。

 私が会社勤めをしていたころの話だが、口を開けば「ドラッカーを読め」と熱く語る先輩がいた。私も強く薦められたが、定期購読していたダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビューでドラッカーの論文を読む程度で、本を買って読むことはなかった。その頃は、私の抱えている課題に示唆を与えてくれるものではないように思っていたからである。

当時はマイケル・ポーターの競争戦略論や野中郁次郎氏の知識創造理論に興味があった。実際何冊かの書籍を読み込むことで、所属する部門の将来を考えるために有用な示唆をたくさん与えてもらった。
「ドラッカーを読め」とアドバイスをくれた先輩の思いがようやくわかったのは、自分が部の運営を預かるようになってからである。中小企業診断士の試験勉強の過程で経営に関する本をたくさん読んだおかげで、ドラッカーが多少理解できるようになったのだと思う。
その後の私は、後輩にドラッカーを読むように薦めていた。

カテゴリー:  人材育成, 吉田健司

心理学に学ぶ 吉田健司

2018/12/24
吉田 健司

  私は、書店に立ち寄るといつも講談社学術文庫と日経文庫に目を通すことにしている。講談社学術文庫は漢以前の中国に関するもので新しい情報がないかをチェックしている。また、日経文庫は、新刊や新たに興味を持った分野の本をチェックしている。
  最近気になって購入した日経文庫は、「ビジネス心理学100本ノック/榎本博明著/2018.9.141版1刷/日本経済新聞出版社」である。気になった理由は、ここのところ書斎に積読状態の心理学に関する文庫・新書・有斐閣アルマを再読して、顧問先に伝えたい言葉を整理していたからである。
この本では、新しい言葉をいくつも学ぶことができた。
  例えば、9月のブログで書いた「思考・感情・行動」が自分を変えるつぼと学んだことについて、さらに思考を深める言葉に出会った。それは、「自己効力感の理論」である。
「自己効力感」は自己に対する信頼感や有能感のことで、カナダ人の心理学者パンデューラの唱えた概念で、モチベーション(動機づけ)に大きな影響のあるとされている。
「自己効力感」の高い人、低い人の特徴、「自己効力感」を高める方法などを学ぶことで、こうすればよいとわかっていてもできないケースへの対応の幅が広がるように思う。
  もう一つ私が学んだ言葉を紹介したい。それは、「計画された偶発性の理論」である。「計画された偶発性の理論」は、心理学者クランボルツによって提唱されたキャリア理論とされる。キャリアは思いがけない出来事に左右されるとされ、偶然の好機を待つのではなく、積極的に生み出す努力と好機を利用するスキルが必要とする考え方に、私は共感を覚えた。

カテゴリー:  人材育成, 吉田健司

「熱心な初心者」への指導 吉田健司

2018/11/26
吉田 健司

  昨日までの3連休に娘が孫と帰ってきた。今年の4月に中学生となった孫は、ソフトテニス部に入部し、初めてのソフトテニスに夢中になっている。部活が休みということで、実家に戻って一緒にテニスをしたいということで、楽しみにしていた。
 わたしも妻も軟式テニス(ソフトテニス)の経験者である。今年になって、孫がソフトテニスを始めたのをきっかけに、ソフトテニスの解説本を選んだり、スポーツ店のラケット売り場をのぞいたりと、あらためてソフトテニスに触れる機会が増えたのは、うれしいことである。
 孫が初めて試合(一年生大会)に出るので見に来てほしいと妻に言ってきたときも、片道2時間ほどの距離ではあるが、応援に出かけて行った。理由は、孫の日常環境を把握したうえで、多少なりとも役に立つ指導をしたいと思ったからである。
 孫を状況対応型リーダーシップⅡモデルの「熱心な初心者」に見立てて指導することとしたが、毎日いっしょに練習するわけではないので、何が良いかいろいろ考えた。その結果、フットワーク、身体の使い方、自分自身・相手・打球・周りの観察の仕方、ボールを打つ練習時の思考のめぐらせ方、ボールやラケットを使用しない練習に対する考え方・やり方などの説明と、そのような意図をもったボールを使った練習などを行うこととした。
 ケン・ブランチャードのリーダーシップ論(ケン・ブランチャード+ケン・ブランチャード・カンパニー 著 ダイヤモンド社)の状況対応型リーダーシップⅡモデルでは、個人の発達レベルを「熱心な初心者」、「幻滅した学習者」、「有能だが自信を欠く実践者」、「自立した達成者」の4段階に区別している。そして、「熱心な初心者」には指示型リーダーシップ、「幻滅した学習者」にはコーチ型リーダーシップ、「有能だが自信を欠く実践者」には支援型リーダーシップ、「自立した達成者」には委任型リーダーシップが必要としている。
 これからも孫の成長を確認しながら指導するのが楽しみである。

平成30年版労働経済白書より ・・・ 吉田健司

2018/10/22
吉田 健司

 平成30年版労働経済白書が厚生労働省より先月公表された。「労働経済白書」は、雇用、賃金、労働時間、勤労者家計などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書である。平成30年版では「働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」を分析テーマとして、働き方の多様化に対応した能力開発や雇用管理の在り方についてさまざまな視点から多面的に分析を行ったと説明されている。
「働き方改革」というキーワードを意識していると多くの方から聞くようになった。「労働経済白書」においても、多様な人材が個々の事情に応じた柔軟な働き方を選択できるように「働き方改革」を推進し、一人ひとりの労働生産性を高めていくことが必要不可欠であるとされている。
 
  白書の分析から人材育成の強化に向けての企業側の課題認識と、社員が望む支援を確認する。
1.企業のいわゆる正社員をめぐる人材育成における課題
「従業員の業務が多忙で、人材育成に充てる時間を確保できない」、「上長等の育成能力や指導意識が不足している」、「人材育成を受ける従業員側の意欲が低い」、「従業員が能力開発に取り組むため不在にしても、その間、他の人が業務を代替できる体制が構築できていない」、「社内で人材育成を積極的に行う雰囲気がない」
2.正社員が重要と考える企業側の支援
「人事考課(賃金、昇進等を含む。)において従業員の能力開発への取組状況をより評価」、「上長等の育成能力や指導意識の向上」、「経営トップからの呼び掛け等により、従業員の能力開発への意欲を向上させる」、「担当が能力開発に取り組むため不在にしても、その間、他の人が仕事を代替できる体制づくり」、「就業時間への配慮」
 
 今後の取り組みとしては、「上長等の育成能力や指導意識の向上」を挙げる企業が一番多いが、全国のポリテクセンターに設置されている生産性向上人材育成支援センター(生産性センター)が実施する生産性向上支援訓練の活用も有用だと思う。

カテゴリー:  人材育成, 吉田健司

自分の行動を選べる人を育てる・・・ 吉田健司

2018/09/24
吉田 健司

 前回のコラムで紹介した國分康孝氏の著書「カウンセリング心理学入門(PHP新書)」から、私が大きな影響を受けたことがもう一つある。それは、カウンセリング心理学の立場から著者が「部下を育てる」に関して解説し提言している部分である。
  職場や研修担当部門の悩みとして、「自分で考えることができない」、「研修後に研修で学んだことが職場で実践されない」などの声を聞いたことがないだろうか。20年ほど前の私は、組織にいてそのような悩みを抱え日々悶々としていた時期があった。
 そんな時に、「カウンセリング理論の立場からすると、部下を育てるということは、人生で遭遇する様々な問題に、その都度自分で対処していける人をつくる、ということであり、そのためには、自分で自分の行動を選べる人を育てる能力が、管理職には不可欠である」ことを学んだ。
 自分で自分の行動を選べる人とは、心の中に規制がなく自由な人、どのようにしたらよいかわかっており行動に自由がある人のことである。その逆で、心の中に規制があり自由でない人、どのようにしたらよいかわからないため行動に自由がない人は、自分で自分の行動を選べない人といえる。
 例えば、自分で考えることができない人にロジカルシンキング研修を実施したとする。その後職場で研修を生かすことのできない人がいる。そのような人は、研修を受けて行動の自由は得たけれども、「とにかく反対されたくない」気持ちがあり自分の行動ができないかもしれない。心の自由は、行動の自由以上に属人的だと思う。一人ひとり違い、場面により違い、タスクで違い、成長の過程でも違いがある。そのため適時適切な指示、アドバイス、サポート、フォロー等をていねいに親身を持って行う必要があると強く感じた。
 このようなことを考えた私は、自分で自分の行動を選べる人を育てるために、著者の関連本から、自分の能力や考え方をより良いものにする考え方を学びたいと思った。その時に読んだのは「自分を変える心理学/國分康孝著/PHP文庫/PHP研究所」、「「なりたい自分」になる心理学/國分康孝著/知的生き方文庫/三笠書房 」である。「自分を変える心理学」は、思考・感情・行動が自分を変えるつぼだと述べられており、大変参考になった。
 冒頭の大きな影響とは、「管理職として、様々な問題に自分で対処できる能力に磨きをかけ、自分を変える努力を継続することで、部下を育てるスキルを向上していく責務がある」と気づきを得たことである。