ブログ » リーダーシップ自分の行動を選べる人を育てる・・・ 吉田健司

自分の行動を選べる人を育てる・・・ 吉田健司

2018/09/24
吉田 健司

 前回のコラムで紹介した國分康孝氏の著書「カウンセリング心理学入門(PHP新書)」から、私が大きな影響を受けたことがもう一つある。それは、カウンセリング心理学の立場から著者が「部下を育てる」に関して解説し提言している部分である。
  職場や研修担当部門の悩みとして、「自分で考えることができない」、「研修後に研修で学んだことが職場で実践されない」などの声を聞いたことがないだろうか。20年ほど前の私は、組織にいてそのような悩みを抱え日々悶々としていた時期があった。
 そんな時に、「カウンセリング理論の立場からすると、部下を育てるということは、人生で遭遇する様々な問題に、その都度自分で対処していける人をつくる、ということであり、そのためには、自分で自分の行動を選べる人を育てる能力が、管理職には不可欠である」ことを学んだ。
 自分で自分の行動を選べる人とは、心の中に規制がなく自由な人、どのようにしたらよいかわかっており行動に自由がある人のことである。その逆で、心の中に規制があり自由でない人、どのようにしたらよいかわからないため行動に自由がない人は、自分で自分の行動を選べない人といえる。
 例えば、自分で考えることができない人にロジカルシンキング研修を実施したとする。その後職場で研修を生かすことのできない人がいる。そのような人は、研修を受けて行動の自由は得たけれども、「とにかく反対されたくない」気持ちがあり自分の行動ができないかもしれない。心の自由は、行動の自由以上に属人的だと思う。一人ひとり違い、場面により違い、タスクで違い、成長の過程でも違いがある。そのため適時適切な指示、アドバイス、サポート、フォロー等をていねいに親身を持って行う必要があると強く感じた。
 このようなことを考えた私は、自分で自分の行動を選べる人を育てるために、著者の関連本から、自分の能力や考え方をより良いものにする考え方を学びたいと思った。その時に読んだのは「自分を変える心理学/國分康孝著/PHP文庫/PHP研究所」、「「なりたい自分」になる心理学/國分康孝著/知的生き方文庫/三笠書房 」である。「自分を変える心理学」は、思考・感情・行動が自分を変えるつぼだと述べられており、大変参考になった。
 冒頭の大きな影響とは、「管理職として、様々な問題に自分で対処できる能力に磨きをかけ、自分を変える努力を継続することで、部下を育てるスキルを向上していく責務がある」と気づきを得たことである。