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落語修業に学ぶエクスターナルマーケティング~長屋 勝彦~

2016/05/08
長屋 勝彦

 5月連休後半の初日5月7日の朝、早朝ジョギングから帰り、いつもの習慣で何とはなしにテレビをつけた。番組の途中であったが、落語の修業により話し方を学び仕事に活用したいという商店主がプロの落語家に入門し修業する様子が目に入った。

 商店主が行った修業は話の仕方を教わるのではなく、楽屋で師匠にお茶を入れたこと、当日の高座で師匠の落語を聞いたこと、翌日師匠が贔屓にしてもらっている商店街の商店主と飲食を交え懇談したことであった。

 最初のお茶出しでは信じられないことではあるが茶碗に直接茶葉を入れお湯を注ぎ師匠にお茶を出したが、師匠から何も言われなかった。次の師匠の講座が終わったところで商店主の世話をしている弟子から、「落語では最初の入りの枕で如何に客を引き付けるかであり、そのために客受けする話を客の反応を見ながら話を切り出す。」、「客を引き付けるには枕の入りが重要であり、どのような話の切り出しをするかに苦労している。」ということを聞かされた。

 又、三番目の商店街の商店主との酒も入った懇談では「日常の暮らしをしている馴染みの商店主が普段生活して感じていること等の世間話から相手の気持ちを理解し、共感するとともに、講座の枕で使えそうな話題を探す。」、「師匠は手取り足取り落語家としての心得、話し方を教えない。芸は見て感じて自分のものにするのであり、盗むものである。そのために師匠の芸を盗み、顧客の暮らしから顧客への気持ちを理解する。」ということを言われた。

 コトラーのいう従業員の顧客に対するエクスターナルマーケティングにおいてはより高い顧客満足を得るためのホスピタリティに根ざした顧客とのコミュニケ―ションが不可欠である。単なるマニュアル通りということではなく顧客満足、高い顧客の支持を得るための日頃からの創意工夫による努力が必要である。

 落語を始めとした芸術の世界では独自の世界を築くため守破離ということがいわれるが、同様に講師課業も豊富な話術、クライアントの業務に通じた事例の設定等によりクライアントを引き付けるための絶えざる工夫が必要であると感じた。
以上