ブログ中小企業支援

 東京都中小企業診断士協会の平成28年度受託調査研究事業として「持続的発展のための中小企業の目標管理とやる気をひきだすための人事評価に関する実践的診断支援マニュアル」の論文発表以降人事評価に関するコンサルを受託する機会が増えた。

 通常、人事評価には賞与時期に実施する業績評価と事業年度末に実施する能力評価がある。「人の業績を評価することはできるが、人は感情の動物であり、人が人を評価するのは難しい。」と言う中小企業社長もいるが、企業で働く企業人としてその人の与えられた職務を遂行するために必要な能力(職務遂行能力)を評価し昇進・昇格、人事異動等に活用するためには必要である。

 人事評価には物事を予測する洞察力、予測した物事から職務を遂行するための計画を作成する計画力、計画を実行するための実行力(問題解決力、折衝力)からなる①マネジメント力(PDCAを回す力)、②組織構成員(上司、同僚、部下)との間のコミュニケーション力を評価する能力評価と職務に対する取組み姿勢をあらわす積極性、誠実性、責任感等③情意評価がある。

 一方、人間力という事がいわれている。人間力として内閣府人間力戦略研究会が「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義し、具体的な構成要素として①想像力、論理的思考といった知的能力要素、②コミュニケーションスキル、リーダーシップ、他者を尊重する心といった対人関係力要素、③意欲、忍耐力などの自己制御的要素をあげている。

 人事評価との関係では人間力の①知的能力要素は論理的思考の概念を仮説検証まで含めるとマネジメント力、②対人関係力はコミュニケーション力、③事項制御的要素は情意性行に該当する。

 企業では評価項目、評価段階、各項目の評点といった評価要素を決定し企業自身の事業内容、経営者、従業員のレベル等その企業に適した方式で行っているが、対象期間の対象業務について策定した評価マニュアルに基づいた客観的評価により行うことが必要である。

 中小企業では社長が従業員を十分理解しているので人事評価制度を作り人事評価をする必要がないといわれているが、中小企業も経営の客観性、透明性の観点から客観的な評価制度の構築による人事評価は不可欠であると思料する。
以上

      ~人間力として人事評価を考える~長屋 勝彦

2019/02/22
長屋 勝彦

 東京都中小企業診断士協会の平成28年度受託調査研究事業として「持続的発展のための中小企業の目標管理とやる気をひきだすための人事評価に関する実践的診断支援マニュアル」の論文発表以降人事評価に関するコンサルを受託する機会が増えた。

 通常、人事評価には賞与時期に実施する業績評価と事業年度末に実施する能力評価がある。「人の業績を評価することはできるが、人は感情の動物であり、人が人を評価するのは難しい。」と言う中小企業社長もいるが、企業で働く企業人としてその人の与えられた職務を遂行するために必要な能力(職務遂行能力)を評価し昇進・昇格、人事異動等に活用するためには必要である。

 人事評価には物事を予測する洞察力、予測した物事から職務を遂行するための計画を作成する計画力、計画を実行するための実行力(問題解決力、折衝力)からなる①マネジメント力(PDCAを回す力)、②組織構成員(上司、同僚、部下)との間のコミュニケーション力を評価する能力評価と職務に対する取組み姿勢をあらわす積極性、誠実性、責任感等③情意評価がある。

 一方、人間力という事がいわれている。人間力として内閣府人間力戦略研究会が「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義し、具体的な構成要素として①想像力、論理的思考といった知的能力要素、②コミュニケーションスキル、リーダーシップ、他者を尊重する心といった対人関係力要素、③意欲、忍耐力などの自己制御的要素をあげている。

 人事評価との関係では人間力の①知的能力要素は論理的思考の概念を仮説検証まで含めるとマネジメント力、②対人関係力はコミュニケーション力、③事項制御的要素は情意性行に該当する。

 企業では評価項目、評価段階、各項目の評点といった評価要素を決定し企業自身の事業内容、経営者、従業員のレベル等その企業に適した方式で行っているが、対象期間の対象業務について策定した評価マニュアルに基づいた客観的評価により行うことが必要である。

 中小企業では社長が従業員を十分理解しているので人事評価制度を作り人事評価をする必要がないといわれているが、中小企業も経営の客観性、透明性の観点から客観的な評価制度の構築による人事評価は不可欠であると思料する。
以上

研修に学ぶ~長屋 勝彦~

2018/07/15
長屋 勝彦

 D社の「成果の上がる業務改善(3時間、4日)」の研修講師をした。
 D社の工場見学により事例を作成しテキストを編集した。テキストは同社目線で作成できた様に思う。同社課長から「考える研修」をして欲しいとの要望により正確な用語の定義に基づきテキストを作成した。

 同社は当研修の前に問題解決、品質管理の研修を続けて実施、今回が3回目の研修であり応用面に重点を置いた研修にして欲しい旨の要望もあった。そこで、業務改善も一種の問題解決であり、今回の研修と問題解決研修はどのように異なるかということを冒頭に説明した。

 具体的には、問題とはあるべき姿と現状の差(乖離)をいい、改善は現在の仕組みを前提とした問題解決であり、手法的には両者は同一であるということを説明し研修をスタートさせた。ついでに、改善の対語である改革についても定義した。

 2日目の研修を開始するに当たり担当課長から受講者が難解であるという感想をもっているというコメントをもらった。

 今回の研修は「考える」研修であり、問題について「あるべき姿からの乖離」と説明したのが判りづらかったのかと思い、問題を「悪さ加減」と説明した。又、問題解決の一手法としてSWOT分析の手法を紹介したが専門用語として機会、脅威、マクロ環境、ミクロ環境という言葉が馴染まなかったらしい。

 この話を聞いて以前にある学者が土壌改良について話をした時に農家の人が「どじょう」についてその意味がわからず話の内容が全く理解できなかったという逸話を思い出した。

 同課長からSWOT分析は受講者である生産部門の人も知っておくべき手法であるが、機会はチャンス、脅威はピンチという言葉で説明して欲しい旨の話を聞き、ビジネスチャンス、リスクという言葉に変えて説明した。

 しかし、品質管理の研修を受けているせいか、「なぜなぜ分析」、「フィッシュボーン法」という用語は抵抗なく受け入れてもらえた。

 研修の狙いは、研修で学習した知識の活用力(考える力)の向上にあると思う。この意味で定義の説明については広辞苑等の辞典を使い正確に定義する必要がある。又、受講者の今後を考えると受講者に馴染めない手法(SWOT分析)の紹介も必要であると思う。

 用語の正確な定義は必要であるが、受講者目線で話し説明することの大切さを学んだ。この年になってもまだまだ学ぶことが多い日々である。
以上

研修の意義~受講者の能力・経験に応じた研修~ 長屋 勝彦

2018/04/13
長屋 勝彦

 研修の意義について、「研修は日常の業務を振り返り気付きを得るためのものである。そのためには自分自身の研修テーマに対する考え方(例えば業務改善)について記述し自分自身の考え方をまとめ、その考えを自分の意見として発表し、グループ討議等により他の研修参加者と意見交換し、新たな気付き(知識)を得ることにある。そのためには自己研鑽、参加者同士の相互研鑚という観点から相手の立場に立った参加型の研修を進めて行きたい。」旨の話を研修に当り話し、研修を始めている。

 研修の進め方として、講義型、討議型の2種類があるが、講義型は話し手である講師の一方向的な講義による研修であり、研修時間が半日(3時間)、一日(6時間)といった長丁場では、受講者はその間は話をすることがなく聞く一方であり飽きてくる。退屈な場合は居眠りするのが通常である。まして、受講者のレベルが経験、能力とも力量のある場合は尚更である。

 又、研修に当っては言葉の使い方が重要である。例えば、改善の意味は何か、改革という言葉とどう使い分けるかについて、研修に当り改めて広辞苑等でその意味を調べて研修に臨むようにしている。

 更に、効果的研修を行うには受講者の階層、力量が高い実務経験の豊富な管理者に対してはその階層に応じた考え方も必要であり、研修テキストの作成に当っては研修参加者の属する企業の業務、業界知識も心得ておく必要がある。場合によっては相手企業の研修担当者の方へのヒヤリング(例えば業務改善の場合の日報、力量マップ等特に対象企業に沿った事例作成の場合)も必要である。

 個人的にも研修講師として事例作成等を通して研修テーマの対象である企業及びその企業の属する環境を学ぶことができ自分自身のプラスにもなる。

 何時まで講師を続けているという話を他人から聞くが研修を通じて関わった企業、人の成長にいくらかでも役に立つのかと思うと、自分なりにこの仕事を続けていきたいと思うこの頃である。
                                                                                           以上

我が人生 ~長屋勝彦~

2018/01/08
長屋 勝彦

 古代インドでは人生を学生期(~25歳)、家住期(25歳~50歳)、林住期(50歳~75歳)、遊行期(75歳~)の四つに区分しそれぞれに応じた生き方を示している。

 中国では人生を四季に例え青春(16歳~30歳前半)、朱夏(30歳前半~50歳前半)、白秋(50歳前半~60歳前半)、玄冬(60歳前半以降)と季節ごとに色をつけている。

 最近読んだ五木寛之氏の「百歳人生を生きるヒント」では人生を登山に例え、40歳代までを登山、50歳以降を下山とし50歳代、60歳代、70歳代、80歳代の生き方(下山の仕方)について説いている。

 ちなみに、50歳代は立ち止まって決断する時期、60歳代は決断を実行に移す時期、70歳代はその成果を楽しむ時期、80歳代以降は自分ファーストに生きる時期、としている。

 五木寛之氏の著書にあるように、2007年に生まれた人の平均余命は107歳であり、同氏の年齢の84歳でも100歳まで生きる確率は3%である。このことからも、同氏の説には納得性がある。

 例えば、40歳代までは自分の将来の目標、50歳代は決断する条件というように、年齢に関係なくすべての人はこれからの自分の人生を考えることは意味がある。

 翻って、自分自身を振り返ると、定年(当時60歳)2年前に仕事を長く続けていきたいと思い中小企業診断士の資格を取得し勤めていた会社を辞めたのは良かったと思う。勿論、会社在籍時代に培った知識、キャリヤ、人脈が活用できたことは言うを待たない。

 退社の翌年、おぼろげながらも将来ビジョンを描き中小企業診断士として独立した。その後、幸い60歳代、70歳代と諸先輩のお蔭により自分自身のデザインした生活を送ることができた。これからは自分ファーストということであるが、これまで通り中小企業支援、若い人材の育成に努めていきたい。但し、報酬をお布施と考え、自分自身を高めることにも時を費やしていきたい。
以上

            合縁奇縁~S社とのかかわり~長屋 勝彦            

2017/12/12
長屋 勝彦

 10余年振りにS社と仕事をすることになった。
 S社とは15年前中小企業基盤整備機構で新規事業開拓のチーフアドバイザーとして当該)社の新規事業開拓支援事業に係った。

 当時、繊維用インクジェットプリンター導入のため中小企業繊維事業団(今の中小企業基盤整備機構)の自立化支援助成金の申請についてアドバイスした。社長は業務多忙のため当該助成金の申請を断念するつもりであったが強引に申請を勧めマツ・ツー・マンの指導により申請し採択されたという経緯がある。

 その後、仲間の中小企業診断士とともに合同会社(今の産業経営研究所)を創立、その後数年間は当社の新規事業開拓支援の仕事でかかわったが仲間のE氏(技術系)が亡くなったということもあり、現在は途絶えている。

 その間も当該社の会長(社長のご尊父)とは直接仕事をすることはなかったが妙に馬が合い、年に一度は夕食後カラオケに行き遅くまで人生談義、仕事談義にふけっている。会長は小職より年配であるが豪放磊落な性格であり武勇伝をきくのが楽しみである。

 しかし今秋、企業内中小企業診断士の資格更新支援を目的に東京都中小企業診断士協会が実施する実務従事事業の指導員として当該社の企業診断に係ったことが縁で、当該社の人事評価制度の構築にあたることになった。

 人事評価制度は昨年中小企業診断協会の中小企業調査研究事業として仲間の中小企業診断士とともに助成金の交付を受け企業勤務時の経験をもとに構築したものである。

 合縁奇縁というか、継続は力なりというか、仕事の面白さを感じている昨今である。
 会長は豪胆で直感型、社長は緻密で実直型、社長の会長思いに触れるにつれて人とのほのぼのとした温かみ、人情を感じる。年の瀬には、仕事の後、忘年会という事で会長も交え仕事談義、人生談義に花を咲かせたい。
以上